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インターネット時代なのにテレビの受信料!? NHK受信料の問題点8つを法律面から考える

こちらの記事は次のようなことを知りたいという方に向けて書いています。

  • NHKの受信料は義務になっていると思うけど、法的な根拠は?
  • NHKの受信料の条件は?
  • NHKの受信料って問題があると思うんだけど?
まっすーです。中小企業診断士試験他多くの資格に合格した実績をベースに数々の資格試験の合格アドバイスをしています。
行政書士資格や社会保険労務士資格、ビジネス実務法務検定1級資格などを保有していますので、法律論に関してはそれなりに知識があるレベルです。
今回は法律的な観点から、NHK受信料について調べたことをお伝えします。

今回の記事は、テレビでは報道されていないものの、最近インターネットで色々と話題になっているNHK受信料について、興味があったので調べたことを記載しています。受信料の不払いに関して推奨するような内容ではありませんのでご了承ください。

NHK受信料の法的根拠

NHKの概要

まずNHKの概要について簡単に説明します。
NHKとは、正式名称を日本放送協会といい、放送法に基づき日本の公共放送を担うことを目的として設立された特殊法人であり、総務省が所管する外郭団体です。

公共放送とは、民間放送や国営放送と区別されるカテゴリーであり、それぞれの意味は以下のようになります。

国営放送国家が直接管理・運営する放送 。税金収入など国費を財源として運営される。(例:アメリカのVOA、中国の中国中央電視台など)
公共放送公共企業体や公的機関により行われる放送。非営利事業が受信料を主たる財源として運営することが多い。
(例:NHK、イギリスのBBCなど)
民間放送民間の資本によって設立された放送事業者によって行われる放送。広告を放送して得られる広告料収入を主な財源とする。
(例:日本テレビ、フジテレビなど)

国営放送は日本にはありません。
NHKは公共放送であり、視聴者からの受信料を財源とした独立採算制がとられています。

NHKにが運営しているチャンネルはテレビが6つ・ラジオが3つあります。今後減少も検討されているようですが、今のところは9つのチャンネルを運営しています。

テレビNHK総合テレビジョン
NHK教育テレビジョン(Eテレ)
NHK BS1
NHK BSプレミアム
NHK BS4K
NHK BS8K
ラジオNHKラジオ第1放送
NHKラジオ第2放送
NHK-FM放送

視聴者から徴収する受信料は以下のように定められています(2020年10月より)。

契約種別支払区分月額払2か月払6か月払12か月払
衛星契約(地上契約含む)口座・
クレジット
2,170円4,340円12,430円24,185円
継続振込等2,220円4,440円12,715円24,740円
地上契約口座・
クレジット
1,225円2,450円7,015円13,650円
継続振込等1,275円2,550円7,300円14,205円

衛星放送まで含めると、1ヶ月あたり2,000円位の受信料ということになります。ちなみに沖縄県だけは別料金の設定があるそうです。

NHKの予算は約8,000億円となっています。事業収入のほぼすべてが受信料収入ということです。
1人当たりの平均年収が1,800万円という話もあるようで、現在進行中の新社屋の建設費用3,400億円もこの事業収入から捻出されます。

それもあってか、営業利益はそこまで多くはありません。
非営利事業を営む特殊法人ですし、受信料を徴収しているわけですから余るようであれば受信料の引き下げが必要になりますので、基本的には収入=費用となる運営を目指しているものと思われます。

ご参考まで、民間放送の在京キー5局の2019年度の決算情報を以下に記載します。

TV局売上高①営業利益②営業利益率①÷②
フジテレビ6,315億円263億円4.2%
日本テレビ4,266億円431億円10.1%
TBS3,568億円131億円3.7%
テレビ朝日2,936億円126億円4.3%
テレビ東京1,452億円51億円3.5%

広告収入を受けている民間放送に比べてもNHK受信料の大きさがうかがい知れます。

NHKの受信料の根拠

NHK受信料の法的根拠は放送法という法律にあります。

放送法(昭和二十五年法律第百三十二号)
第六節 受信料等
(受信契約及び受信料)
第六十四条 協会の放送を受信することのできる受信設備を設置した者は、協会とその放送の受信についての契約をしなければならない。ただし、放送の受信を目的としない受信設備又はラジオ放送(音声その他の音響を送る放送であつて、テレビジョン放送及び多重放送に該当しないものをいう。第百二十六条第一項において同じ。)若しくは多重放送に限り受信することのできる受信設備のみを設置した者については、この限りでない。

(収支予算、事業計画及び資金計画)
第七十条 4 第六十四条第一項本文の規定により契約を締結した者から徴収する受信料の月額は、国会が、第一項の収支予算を承認することによつて、定める。

協会の放送を受信することのできる受信設備、つまりテレビを設置した人は、受信契約をしなければいけないということです。

そして先ほど記載した受信料は、国会によるNHK予算の承認により決定されています。

ここまで見るだけだと、テレビを持っていれば受信料を支払う、それだけのことに思われますね。ですが、現在NHK受信料に関しては様々な議論が出ています。

NHK受信料の問題点

ここからは、NHK受信料の問題点について述べます。

テレビを持っていれば契約が必須(強制)

NHKの受信契約は、NHKの放送を受信することのできる受信設備、つまりテレビを設置した者に結ぶ義務があります。

契約というのは、民法に契約自由の原則が定められています。条文は以下の521条です。

民法
(契約の締結及び内容の自由)
第五百二十一条 何人も、法令に特別の定めがある場合を除き、契約をするかどうかを自由に決定することができる。
2 契約の当事者は、法令の制限内において、契約の内容を自由に決定することができる。

NHKの受信料は、放送法という特別法に規定されています。

特別法 > 一般法、つまり特別法は一般法を破りますので、この契約自由の原則も放送法により制限を受けると言えそうです。

加えて2017年12月6日に最高裁判所大法廷における判決で、「放送法は受信設備の設置者に対して受信契約の締結を強制する旨を定めている」と認められました。

このことから、受信契約は、契約でありなあら強制力をもった義務ということになります。強制力をもった契約というのは、NHK受信料だけに認められたものではありません。

強制契約という概念があります。特定の契約の締結が、法律によって強制されていることを言うのですが、たとえば電気・ガス・水道などの公益事業者が契約申し込みに対しては、供給契約を拒否できない、というものです。

これはまぁわかりますよね。公益事業というのは、行政から許可を得て事業を運営しているのですから、それが好き嫌いとかで「ガスを供給する契約を結ばない!」などとしてしまったら、認めてもらえなかった方は生活ができず、死活問題です。

NHKについても、恐らくNHK側が受信設備設置者からの契約申し込みを受けた場合は、強制的に応じる義務があると考えるべきでしょう。放送法により、公益事業を営んでいますからね。おそらくは申し込めば喜んで応じるとは思いますが。

ただ、NHKの場合は、一般人にも強制契約の概念を押し付けている、ということが議論となっています。

先に記載した2017年の最高裁判決では、NHKには公共放送の役割を丁寧に説明し、受信料を支払う意味を理解してもらう不断の努力を求め、受信契約が未確定の段階で徴収するのは適当ではない旨を指摘しています。

先に挙げた電気・ガス・水道などは、使いたくなければ使わなければ契約を結ばなければいいわけですが、NHK受信料はNHKを見たい、見たくない、見ている、見ていないにかかわらず、テレビを設置したら契約が強制されるという点は、法律的には根拠があるとしても、実際のところは意味不明ですね。

NHKとの未契約・受信料未払いには罰則がない

NHKとの未契約

NHKとの放送受信契約の未契約には罰則がありません。
ただ少し注意が必要なのですが、もしNHK社員やNHKの集金委託業者にNHKとの受信契約を求められたときに、「テレビがありません」と嘘をついて契約を免れようとしたのであれば、詐欺罪が成立する可能性があります。

ただ、こうした場合を除いては、契約しないことをもってのみでは罰則はおろか支払い義務も発生しません。支払い義務が発生するためには、「NHK側がテレビを設定したことを裁判上証明し、放送受信契約を強制する判決」を得なければなりません。

ちなみに、2021年に予定されている放送法改正では、正当な理由なくNHK受信契約を結ばない世帯に対しては、割増金を徴収することができるようにするそうです。

もちろんこれもNHK側が証明しなければならないのですが、どうするんでしょうね。

ちなみにこの割増金は、元々NHKの放送受信規約の受信料の不正な支払についての規定として元々あります。これを放送法という法律を根拠にするよう強化するのでしょうね。

日本放送協会放送受信規約
(放送受信契約者の義務違反)
第12条放送受信契約者が次の各号の1に該当するときは、所定の放送受信料を支払うほか、その2倍に相当する額を割増金として支払わなければならない。
(1)放送受信料の支払いについて不正があったとき
(2)放送受信料の免除の事由が消滅したにもかかわらず、その届け出をしなかったとき

NHK受信料の未払い

NHK受信料の未払いについても、罰則はありません。

電気・ガス・水道など公益事業の料金も、もちろん未払い事態に罰則はありませんが、もし支払いしなければ、容赦なく電気・ガス・水道の提供を止められます。当然ですね。

ただ、NHKの提供する放送は、電波に乗っていますので止められません。支払わないことに対する罰則もありません。そのため、NHKとしては民事上の請求をするしかない、ということになります。

WOWOWのように、スクランブル放送をかけて契約を結んだ場合に解除するとか、ケーブルテレビのように、契約を結ぶとセットトップボックスのような受信設備を提供されるような仕組みならば、実質的に放送を提供しない、ということができるのですが、なぜかNHKはその方法は取らないようです。

契約対象が個人ではなく世帯

NHK受信料のよくわからない点の一つとして、契約対象が世帯であることです。

まず、1つの家にテレビが複数ある場合で、それぞれ設置者が別の場合を考えるとわかりやすいです。父、母、兄、弟の4人家族で、それぞれがテレビを設置したら年間2万4千円×4人=9万6千円で大儲け!とはいかないですよね。

そのため世帯が対象になっているのだと思います。また、テレビが1台だったとして、家においてあれば、世帯に属する人みんなが見ることができるのですから、妥当とは言えそうです。

ただこの点の問題点は世帯主が契約義務を負うのではなく、あくまでもテレビを設置した者が負うということです。

契約主体が明確でないというのは、法律的には微妙な立場になりそうです。法律をまともに解釈すれば、テレビを設置した者をNHK側が証明しなければならないということです。

適当に考えれば、「テレビあるなら見てるでしょ?」ということでその家にいる誰か大人に請求すればいい、という結論にはなりそうですが法律論ではなかなか一筋縄ではいかないのでしょうか。

また、シェアハウスとかはどうするんでしょう?世帯は別ですよね。
調べたところ、生活費について一つで管理している(同一生計)と認められる場合は受信契約は1つだけでいいようです。全員が設置した者であることを拒否したらどうするんでしょう。裁判で証明できるのでしょうか?共有名義とかにするんでしょうかね。

生計が別々の場合は、テレビが1つでも全員が受信契約をする・・?意味不明な状況になりそうですね。または誰か1人を契約当事者とするのでしょうかね。

これら全ては、元々テレビは高くて買えても1台、一家そろってテレビを見る時代からずっと同じことをやっているから、ということのようです。

放送法は昭和25年に成立しています。太平洋戦争後5年でできた法律です。
実際にNHKがテレビ放送を開始したのが昭和28年、当時のテレビの値段は17インチで30万円、サラリーマン月給は3万円だったそうです。昭和60年くらいまではテレビが2台ある家は珍しかったのではないでしょうか。

そこからの時代の変化が早すぎるのかも知れませんが、いずれにしてもはるか昔の前提で成立した法律が未だに適用されていることに驚きです。

契約を強制する方法は裁判のみ

受信設備を設置した者が、NHKとの放送受信契約をしていない場合、または拒んでいる場合どうするのか?

私の方で考えた対応フローを書いてみます。

  • テレビを持っているかわからない⇨頑張ってテレビがあることを教えてもらう、調べる⇨裁判
  • テレビを持っているのはわかっているが拒んでいる⇨裁判

多分、コンプライアンスを守ろうとしたらこれだけです。

まずテレビを持っているのがわからない場合は、テレビを持っていることを証明する必要があります。その方法には以下のことが考えられます。

  • テレビが有ることを認めさせる
    もっともクレバーな方法です。会話の中からテレビを持っていることが明らかであることを認めさせれば、テレビがあることはわかります。裁判で使えるかはわかりませんが。
  • 違法にならない範囲でテレビがある証拠を収集する
    警察官であっても、テレビが家にあるか調べることは裁判所の発行する捜査令状がなければできません。外からのぞき見てテレビがある!とわかれば強制契約するための裁判で証拠として使える?のでしょうか。違法収集証拠も民事なら証拠能力が認められるかもしれません。
  • 裁判でテレビの有無を争う
    テレビを持っているか持っていないかはわからないが、裁判を起こします。これが一番確実な方法です。裁判所の法廷で嘘をついた場合、偽証罪(刑法169条)で3か月以上10年以下の懲役になりますので、テレビがあるのにない、ということを言うことは許されません。黙秘(厳密には民事裁判ではそういいませんが)も可能ですが、争わないことになるため、あると言っているのと同じように扱われてしまいます。

一方テレビがあることはわかっているが契約を拒んでいる場合、こちらも、

  • 裁判で強制契約を認めさせる
    テレビがあることは証拠として提出できるのですから、ほぼ確実に強制契約の判決が出るでしょう。

ということで、NHK側としては、法律を盾にとって、裁判を片っ端から起こしていくのが正しい方法と言えそうです。公共放送としてそれでいいのかはわかりませんが。

ですが、実際はNHKはNHK訪問員(通称集金人)と言われる人を各世帯に派遣して、公共放送と受信料制度に対する理解を求めているようです。

NHK自体に思うことは特にありませんが、このNHK訪問員という制度には、私は非常に疑問をもっています。

なぜなら、NHK訪問員が世帯を訪問することに法律上の意味がほぼないからです。受信料の存在そのものを知らない方に周知する、という役割もあるとは思いますが、現実は「払わなくてラッキー」と思っている人に対して、「支払え!」と請求に来る立場の方としか思えません。

その場合、代行業者(NHK訪問員)が報酬を得て債権の請求をやってもいいんでしょうかね。弁護士法72条とかに触れないんでしょうか。

弁護士法
(非弁護士の法律事務の取扱い等の禁止)
第七十二条 弁護士又は弁護士法人でない者は、報酬を得る目的で訴訟事件、非訟事件及び審査請求、再調査の請求、再審査請求等行政庁に対する不服申立事件その他一般の法律事件に関して鑑定、代理、仲裁若しくは和解その他の法律事務を取り扱い、又はこれらの周旋をすることを業とすることができない。ただし、この法律又は他の法律に別段の定めがある場合は、この限りでない。

使者と考えることもできるのかもしれませんが、「契約しに来ましたー!!」と伝えるだけではなさそうで、法律の規定とか、契約条件(いつから契約とか)について詰めていると思いますので、結構非弁行為ギリギリなのかな、と思います。

これも放送受信契約(しかも強制)という形をとっているからこその問題なのでしょう。

受信設備の定義があいまい

放送受信設備は、昭和28年であればテレビしかなかったのですが、現在NHKの判断では携帯電話、スマートフォン、タブレット、カーナビなどなど、多岐にわたっているそうです。

法律上は、「協会の放送を受信することのできる受信設備」となっているのですから、NHKのテレビ放送が受信できれば該当するのは当然ですね。一方で「放送の受信を目的としない受信設備」は対象外なのですが、主目的か副次的な目的かは書いていないので、テレビが見られれば目的とする、ということになるようです。

これに加えて、2020年4月1日からはインターネットで総合・Eテレ(教育テレビ)の2放送を同時配信しています。

テレビ放送でなくても、インターネットが接続できれば受信料を徴収する時代が来そうですね。ただこの場合もインターネットが入っていることはどうやって証明するんでしょうね。誰もが使っているはずですし、実際そうなのでしょうが、放送受信契約の根拠を満たすにはどうするのでしょうか?

受信料納付率が80%超の謎

NHK受信料の推計世帯支払率は、2019年度末の全国推計で81.8%を記録しているそうです。秋田県、新潟県、山形県、島根県、青森県、岩手県、富山県、鳥取県、岐阜県、福井県、山口県、福島県、静岡県では90%以上の支払率となっています。

私としては、これは極めて高い数字であると考えます。が、本当に?という疑問もあります。

比較対象として国民年金制度を挙げてみたいと思います。
2018年度の国民年金保険料の納付率は68.1%だそうです。
国民年金よりも高い徴収率?本当ですか?

もちろん、国民年金に加入している方は、厚生年金に加入している方と違い、自分で納付しなければなりませんので、納付忘れなどもあるでしょうが、国民年金の徴収に関してはかなり厳しい規定が適用されます。

ちなみに、社会保険労務士試験ではおなじみですが、国民年金と厚生年金では滞納に対する対応が違います。国民年金法では、滞納者に対して少し甘めの対応が規定されています。

会社が徴収して納付する厚生年金は、未納がある場合厚生労働大臣は督促する義務があります。一方、国民年金の場合は督促することができる、だけで義務はありません。

国民年金法
(督促及び滞納処分)
第九十六条 保険料その他この法律の規定による徴収金を滞納する者があるときは、厚生労働大臣は、期限を指定して、これを督促することができる。

厚生年金法
(保険料等の督促及び滞納処分)
第八十六条 保険料その他この法律の規定による徴収金を滞納する者があるときは、厚生労働大臣は、期限を指定して、これを督促しなければならない。ただし、前条の規定により保険料を徴収するときは、この限りでない。

なお、厚生年金も国民年金も、督促しても納付しない場合は国税滞納処分の例によって処することができます。つまり、請求する権利を確定するための裁判なしで差し押さえに進むことができます。

一方NHK受信料は、

  • テレビの設置を合法的に立証する方法が通常はない
  • 契約は民事裁判で結ぶ必要がある
  • 未払いの受信料は民事裁判で請求、債務名義確定後差し押さえ手続きが必要になる

と法的なハードルが高く、受信料回収難易度は高そうです。

国民年金はそれだけ強い徴収力があるのに、NHK受信料に負けている・・?厚生労働省は特殊法人に資金回収力で負けている。国民はこれに対して激怒しなければならないのではないでしょうか?

受信料が高い

NHK受信料が高いか安いかは、同等なサービスと比較しなければなりませんが、実はNHKと同等なサービスというものはありえないと思っています。

NHKというのは、「NHKは、全国にあまねく放送を普及させ、豊かで良い番組による放送を行うことなどを目的として、放送法の規定により設立された法人」(NHKホームページより)だそうです。

日本全国どこにいてもテレビでNHKを受信することが可能なように、放送インフラを整え、ニュースや災害の情報を即発信できるように多くの人員を抱え、国民全体に情報を行き渡らせているわけです。

これと同じことをできる会社はあるでしょうか?恐らくないでしょう。
ですので、この素晴らしいメリットを享受できることに対する対価は、プライスレスです。

NHKの言い値で買うしかないでしょう。これが私の結論です。ただ、そうであればNHKは見たい人が見ればいいのではないかな、とも思います。

インターネットがあればNHKはいらない、と言っている方は多そうですね。一理はありますが、インターネットは広告収入などを考えた記事や動画を表示する構成となっており、ある意味の偏向報道になっている可能性があります。

NHKは「NHKがその使命を他者、特に政府からの干渉を受けることなく自主的に達成できるよう、基本事項を定めています。その大きな特徴は、NHKの仕事と仕組みについて、NHKの自主性がきわめて入念に保障されていること」(NHKホームページより)だそうですので、そうした偏向報道などはないと言い切ってくれるのでしょう。

これがもし本当であれば、そんなメディアは他に類を見ない、貴重な存在ですよね。

ちなみに、よく出てくるインターネットの動画配信サービスの値段を一応記載しておきます。NHKにエンターテインメントは求めていない、これで十分でしょ、という気持ちはわかります。

 サービス名月額料金(税込)コンテンツ数
Netflix990円~1,980円非公開
hulu1,026円約70,000本以上
U-NEXT2,189円200,000本以上
amazon prime500円非公開
paravi1,017円非公開
dTV550円約120,000以上

インターネットとの競合

NHKの放送内容は、簡単に言うと古いです。これはテレビである宿命です。

インターネットであれば、自治体や現場からの1次情報がダイレクトに入ってきます。これを実感するのは最近の地震や台風に対する情報収集ではないでしょうか。

災害が起こるとみんなWebサイトやSNSを見ていますよね。自治体の避難情報とか、各地の被害状況とかはWebサイトやSNSで情報収集するほうが効率的です。

テレビもつけるよ!という方もいるとは思いますが、その方はまだ被害にあっていない方だと思います。被害にあっている方はのんびりテレビを見ている余裕はないでしょう。一度でも避難したことがある方ならばわかるのではないでしょうか。

NHKはじめ、テレビなど旧メディアを全否定するつもりはありません。各メディアで取材した情報を加工し、表現を工夫することで受け手の印象に残るような報道をすることや、わかりやすくニュースを伝えることなどは、メディアに課せられた大きな役割であると考えます。

インターネットは利用自体にお金がかかります(プロバイダ使用料や回線利用料)が、有料コンテンツではない限り、閲覧にお金はかかりません。これは当然ですがコンテンツの提供者が広告費で運営することが多いからです。

NHKも偏向報道のない受信料をベースとして成立するWebサイトを作成するというのも、インターネット時代には有効かもしれません。広告で成り立つようなニュースは見たくない、という方には好評かもしれませんね。

まとめ

今までNHK受信料について見てきましたが、問題点についてここでまとめてみます。

NHK受信料の問題8つ
  • テレビを持っていれば契約が必須(強制)
  • NHKとの未契約・受信料未払いには罰則がない
  • 契約対象が個人ではなく世帯
  • 契約を強制する方法は裁判のみ
  • 受信設備の定義があいまい
  • 受信料納付率が80%超の謎
  • 受信料が高い
  • インターネットとの競合

こうした問題を抱えるNHK受信料ですが、方向性としてはさらなる受信料支払率アップのために、

  • 未契約に対する罰則金の放送法への盛り込み(今までは放送受信規約に不正支払について規定されていたのみ)
  • インターネット同時配信によりあまねく誰もがNHKを受信できる状況の整備

という方向に進んでいます。

ただ、問題点で記載したように、あくまで放送受信契約は民事上の契約ですので限界があります。あとは日本に住んでいれば受信料支払の対象にするような、強制徴収の規定を放送法に規定すれば完璧ですね。外堀がどんどん埋まってきている気がします。

今後、総務省およびNHKがどのような制度を加えていくのでしょうか。NHK受信料から目が離せません。

ここまでお読みいただきましてありがとうございました。

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まっすー
中小企業診断士のまっすーです。 社会保険労務士やITストラテジストなど、多くの難関資格に合格した実績をベースとした資格試験の学習方法、ExcelマクロやPythonを活用した自動化の推進、経営に役立つ管理会計の理論解説、ITを活用した経営資源の有効活用などの情報を発信しています。

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