こちらの記事は次のようなことを知りたいという方に向けて書いています。
- 基本情報技術者に合格したから応用情報技術者試験を受けてみようと思うけど、難しいのかな?
- 応用情報技術者試験の合格体験記が読みたい!
- 選択科目のアドバイスが欲しい!
応用情報技術者試験には平成24年春に一発合格しており、その体験をお話しつつ、試験攻略法をアドバイスします。
応用情報技術者試験の合格証と得点
説明への説得力を持たせるために、私の応用情報技術者試験の合格証と得点をアップしておきます。
点数だけ大きくして表示します。
午後得点は80点以上を狙って学習したのですが、届きませんでした。
実は試験中にトラブルがありまして、集中できなかったというのが理由でした。
この点は後述します。
受験を志したきっかけ
私は就職以来経理の仕事をしているのですが、業務の幅を広げる必要があると考えて、平成23年秋に基本情報技術者試験を受験することを志しました。
基本情報技術者試験に合格した際にIT人材としての道が開けたと感じました。
このあたりの受験体験は下記のリンクで説明しています。
非IT部門の人間としてならば、基本情報技術者試験に合格したことは評価されると思いますが、私はその時に非IT部門ではない、私はITの人間になるんだ!と勝手に決意し次のステップに進むことにしました。
IT人材としてのスキル、というのはもちろんOJTで得られるものや、Off-JTでもベンダー資格など多数のものがありますが、せっかく国家資格の基本情報技術者試験に合格したのですから、次も応用情報技術者試験にしようかなとその時はすんなり決まりました。
こちらのIPA(独立行政法人情報処理推進機構)の発行している試験要綱内の図でも、基本情報技術者を取得したら、次のステップとして応用情報技術者が紹介されています。
専門家への一歩手前、という感じですね。
試験研究
これは、資格試験の参考書や過去問などを見て、どのような学習をすれば最も効率的に学習を進められ、一発合格の可能性を高めて高得点で合格できるかを考えます。
午前試験
午前試験の概要は下記のとおりです。
試験時間150分。四肢択一式(マークシート使用)で80問出題され全問解答。素点形式で採点され60点以上で合格(満点は100点)。
問1-問50:テクノロジ系(コンピュータ科学基礎・ハードウェア・稼働率・ソフトウェア・論理回路・データベース(SQL、正規化)・ネットワーク・セキュリティ・設計)
問51-問60:マネジメント系(DFD・開発規模、工数など)
問61-問80:ストラテジ系(全体計画立案・業務改善・契約タイプ・経営戦略・ABC分析・利益や費用の計算・関係法規など)
Wikipedia応用情報技術者試験より
80問を150分で解くわけですから1問あたり使える時間は1分50秒。
一見、あまり余裕はないですね。
この概要を理解した上で、過去問を見てみます。
過去問題(問題冊子・配点割合・解答例・採点講評)
ざっと見た感じで、結構難しい・・・と思ってしまうかもしれません。
知らない知識もあるでしょうし、4択で絞りようもないものも散見されます。
ただ、情報技術者試験の4択問題は、過去問で出題された内容がかなりの数出題されるんですね。ですので、過去問を相当数やっておけばほぼクリアできることに気づきます。
万が一、ということもあるので参考書を読んで知識を広げておいた方が合格確率は上がるかもしれませんが、それをするならば過去問を多くさかのぼって、数多くの問題をこなす方がいいと考えます。
過去問対策の効果が大きいため、もし午前試験で不合格になってしまう場合、問題を解いた数が少なかったのではないか、と推測します。
この点はこちらの記事に詳しく記載していますが、過去問学習は資格試験の勉強の基本中の基本であり、その基本ができた人が応用情報技術者試験の午前試験に合格します。
過去問演習で十分に合格可能!
午後試験
応用情報技術者試験の本番と言ってもいい午後試験。
情報技術者試験を5つ合格している私の考えでは、情報技術者試験の午前試験は、本番である午後試験を受けるための資格があるかどうかの審査のようなものだと思います。
基本情報技術者試験の場合、午後試験は多肢択一なので難易度は上がるものの、マークシート方式なので採点の手間はかかりません。
ですが、応用情報技術者試験や高度情報技術者試験は、記述問題があるため採点者が目で見て採点します。そのため、最低限の知識があるかどうかを午前試験でチェックして、そこに残れた人のみ、採点するようにしているのだと考えます。
試験の概要は下記のとおりです。
試験時間150分。素点形式で採点され60点以上で合格(満点は100点)。
記述式で11問出題、うち1問(情報セキュリティ)が必修、10問(ストラテジ分野全般・プログラミング・システムアーキテクチャ・データベース・ネットワーク・組込みシステム開発・情報システム開発・プロジェクトマネジメント・サービスマネジメント・システム監査)中から4問を選択して解答。
Wikipedia応用情報技術者試験より
100点満点で11問中5問選択なので、1問あたりの点数は20点。
60点以上で合格ですが、記述式の回答の場合満点を取るのは難しくなるのが通常なので、大問1問を捨てる、というような大胆な戦略は取りづらいです。
一方で、これが基本情報技術者試験との大きな大きな違いなのですが、「プログラミング」は必須選択ではありません。
私はプログラミング技術は業務改善の発想やロジカルシンキングの能力向上に役立つと考えているので、可能ならば勉強したほうがいいと思いますが、どうしても無理な方でも試験にチャレンジできるというのは、間口を広げるという意味でも、いい制度だと思います。
話は戻って、試験科目を私流に大別すると下記のとおりになります。
技術系 | プログラミング・システムアーキテクチャ・データベース・ネットワーク・組込みシステム |
---|---|
必須 | セキュリティ |
文系 | ストラテジ分野全般(経営戦略・情報戦略・戦略立案・コンサルティング技法)・プロジェクトマネジメント・サービスマネジメント・システム監査 |
この概要を理解した上で、午後試験についても過去問を見てみます。
過去問題(問題冊子・配点割合・解答例・採点講評)
何年分か過去問を見てみるとわかるのですが、技術系については、年度によって難易度のバラツキが多いという印象がありました。
これは私のレベルで解いてみたら、ということなので技術に自信あり!の方にとってはそうでもないかもしれません。
事実、私が得意とするデータベースに関してはバラツキがあるといった感覚はありませんでした。
一方、セキュリティの問題は、応用情報技術者試験のひとつ上のレベルとなる高度情報技術者試験でも少し難易度が低いという印象で、あまりITに馴染みのない方でも取り組みやすいです。
その理由は、常識的に考えてこうした方がいい、という考えがそのまま回答になることが多いためです。例えばパスワードの使い回しを避けるとか、IDを登録する際の承認者は二人にするとか、セキュリティ分野では当然な、性悪説で物事を考えれば正解に導けるということがありますね。
もちろん、情報セキュリティに関する技術的な知識が必要になることもありますが、60点の合格レベルを狙うことは十分に可能です。
最後に、文系科目は問われている答えが思いつかないという可能性はありますが、技術系科目よりは、何らかの回答をすることができる問題が多いです。
すべての科目の過去問を見てみて、技術系は特に年度ごとのバラツキが大きいこと、文系もどの選択問題が簡単、と言い切れるわけではないことがわかり、ある程度範囲を広げて、薄く広く対応しておくことがいいのではないかと考えました。
広範囲で対応可能にしておき、簡単そうな問題を選んで回答することで高得点合格確率をアップ!
学習方法
午前試験は過去問のみ
一発合格を志す私は、当時は応用情報技術者試験に名前が変わってから3年しか経っていなかったこともあり、過去問3年分+その前身であるソフトウェア開発技術者試験の過去問3年分、合計6年分(春秋とあるので12回分)の過去問を解きました。
択一問題は、スキマ時間で十分学習できるので、時間もそれほど必要ではありません。
情報技術者試験の午前の4択問題は過去問のみで合格可能!
覚えておいていただけるとありがたいです。
過去問は過去6年、12回分
なお、もし過去問だけでは不安、という方にはこちらのテキストをオススメします。テキストの記載も的確な分量であることに加え、確認用の問題も備えており、これに過去問演習を加えれば怖いものはありません。
午後試験も過去問のみ
午後試験も同様に過去問のみを解きます。
ただ、午前試験との違いは必要な時間です。午前試験は過去問数年分解くと、同じような問題にいくつも当たるので、過去に解いた問題はすんなり抜けられるのですが、午後問題は過去問と同じ問題が出題されることがないため、すべてが初見です。
また、問題を解くのにかなりの時間を要します。しかも私の場合は各年度、技術系科目を含む選択問題全部(当時12問)、しかも応用情報技術者試験3年分+ソフトウェア開発技術者試験の問題も4年分も解いていたので、ものすごく時間がかかりました。
これは技術者を目指したい!という私の思い入れで、技術系科目もすべて解いていただけですので、そこまでやらなくてもいいかもしれません。
恐らく効率的に合格を狙うのであれば、今の試験ならば、
- セキュリティ
- ストラテジ分野全般(経営戦略・情報戦略・戦略立案・コンサルティング技法)
- プロジェクトマネジメント
- サービスマネジメント
- システム監査
の5科目を中心にして、あとは対応できそうな技術科目をピックアップして、勉強しておくのが合格確率を高めるという観点ではいいと思います。
当日試験会場で試験問題を見て、どの問題を解くか?というのを選ぶこと、解き始めてみてあまりに難しそうならば、撤退して別の問題に取り掛かるというシミュレーションもしておいたほうがいいと思います。
過去問は過去7年、選択問題は全部解く!
過去問演習はとても大事であり、応用情報技術者試験はIPAのWebサイトに過去問および解答が公開されているため、ありがたいのですが、1つだけ難点を挙げると午後試験のような記述試験についてはどうやってその解答が導き出されたかの解説が必要なときもあります。
そんなときには迷わず参考書の力を借りましょう。
こちらのテキストは応用情報技術者試験の午後試験に特化した対策本となっており、わかりやすい解説で不得意分やであってもしっかりとカバーできると思います。
そして試験日
試験はとある高校でおこなわれました。
午前試験
午前試験は過去問での勉強がバッチリだったので、それほど心配はしていませんでした。ただ、初見の問題は難しく感じてしまうため、落ち着くことを心がけます。
試験への取り組み方としては、時間のかかる可能性のあるテクノロジ系は後回しにして、マネジメント系、ストラテジ系から先にやることをおすすめしたいです。
そして、コツとしては見たことのある問題はすぐに解けるのでどんどん回答していって、迷うものは次々と飛ばしていきます。
1問1分50秒程度と余裕がないわけではありませんが、計算問題やじっくり考える必要のある問題は平気で3~4分かかってしまうこともあるので、タイムマネジメントは重要です。
一番問題なのは時間がなくなって焦ること。
焦ってしまうと普段ならば余裕で解ける問題も解けなくなってしまう可能性があるので、そうなる前に簡単な問題から解くのは試験の基本だと考えます。
難しい問題も、簡単な問題も、資格試験では1問は1問です。
私の場合は、大した問題もなく午前試験は終了しました。
午後試験
さて午後試験。
情報技術者試験は午前・午後と別れているためお昼の休憩があります。
ここをどう使うかが勝負の分かれ目・・・ですが、知識の詰め込みで勝負する試験ではないので、最後の勉強に集中するというよりは、リラックスして頭を休めておくほうが重要だと考えます。
そして食事は取りすぎないように。午後試験は午前試験よりも時間との勝負です。眠くなったりしたらかなり不利です。
午後試験が始まって、当時の私は
- 得意科目のデータベース・ストラテジ分野全般(経営戦略・情報戦略・戦略立案・コンサルティング技法)
- プロジェクトマネジメント
- サービスマネジメント
- システム監査
- セキュリティ
中で、難しくて対応ができないものがないか確認、もしあったらテクノロジ系に切り替えるという作戦でした。
ぱっとチェックした限りでは上記1~5で対応可能と判断、回答を始めました。
ただその中で、「○○高~、ファイト、ファイト!」という掛け声が。しかも丸聞こえで。すぐ側のグラウンドで野球部らしき人達が練習を始めました。
午前試験なら脊髄反射で解けるような問題も多いのですが、午後試験はそうは行きません。声を気にしないと思えば思うほど、気になってしまう。
耳栓とか持っていれば、と思いましたが、そもそも情報技術者試験では耳栓の使用は禁止です。
それなら試験会場を貸しているとはいえ、高校側に徹底させてくれ~!と思うものの、どうしようもありません。
ただ、あらゆる資格試験でそうなのですが、イレギュラーはいつでも、どこでも起こりえます。そしてそれは大体の場合みんな平等に訪れます。
なぜ自分だけ・・とか思うかもしれませんが、いろいろな試験を受けた仲間に聞いてみると、結構みなさんいろいろと不思議な経験をしています。うるさいとか、揺れるとか・・。
なので、試験中に何があっても動じないように、何かあるもんだと心の準備をして、試験に望みましょう。
私の場合はその当時、心の準備が足りなかったのか、かなり心を乱されてしまいました。
試験結果とその後
試験結果はこの記事の最初の方に出していますが、無事合格でした。
午後試験は高得点合格をするために得意のデータベース以外の技術系科目を捨てて挑んだ割には得点が伸びませんでした。
環境のせいにしても仕方がありませんし、そもそも高得点を目指すのは、確実に合格をするためなので、合格という結果があれば満足です。
この試験の結果、応用情報技術者試験合格で経営情報システムが科目免除になる中小企業診断士試験に挑んでいくことになります。
ここまでお読みいただきましてありがとうございました。