こちらの記事は次のような方のニーズに応えるために書いています。
※最初にお断りしておくと、私のTOEIC最高点は975点です。
「満点取っていないのに満点狙いの記事書くの??」という批判は覚悟の上ですが、一応挑戦した者としての学習法をご紹介したいと思ってこの記事を書きました。
- TOEIC900点超えたけど、そこから伸びない・・・。
- TOEICで満点を狙うにはどんな勉強法が必要なの?
- TOEICで満点を取れる人ってどんな人?
私は海外駐在経験があることもあり、日本人の中では英語はそれなりに得意な方だと思います。ただ、英語そのものにはそれほど興味がない&英語を真面目に勉強したのが社会人になってからということもあり、帰国子女の方のような流暢なレベルとは程遠いです。そんな私ですが、一時期TOEIC満点を目指して975点まで伸ばすことができました。TOEICの点数だけは帰国子女レベルです。今回はTOEICについてのお話をします。
現在はTOEICオンラインテストやTOEIC Speaking & Writing Testsなどもありますが、この記事では最もポピュラーなTOEIC Listening & Reading Testについて説明しています。
TOEICで満点を取るための条件
TOEICの概要
TOEICの概要はこちらの記事で解説していますので、よろしければご参照ください。私の975点を取得したときの成績表も公開しています。
TOEICの試験内容は、以下のとおりです。
リスニングセクションが5~495点(5点きざみ)、リーディングセクションが5~495点(5点きざみ)で評価され、合計10点~990点のスコアとなります。
リスニングセクション(約45分間・100問) 会話やナレーションを聞いて設問に解答 | |
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Part1 | 写真描写問題 6問 1枚の写真について4つの短い説明文が1度だけ放送される。説明文は印刷されていない。4つのうち、写真を最も的確に描写しているものを選び解答用紙にマークする。 |
Part2 | 応答問題 25問 1つの質問または文章とそれに対する3つの答えがそれぞれ1度だけ放送される。印刷はされていない。設問に対して最もふさわしい答えを選び解答用紙にマークする。 |
Part3 | 会話問題 39問 2人または3人の人物による会話が1度だけ放送される。印刷はされていない。会話を聞いて問題用紙に印刷された設問(設問は放送される)と解答を読み、4つの答えの中から最も適当なものを選び解答用紙にマークする。会話の中で聞いたことと、問題用紙に印刷された図などで見た情報を関連づけて解答する設問もある。 各会話には設問が3問ずつある。 |
Part4 | 説明文問題 30問 アナウンスやナレーションのようなミニトークが1度だけ放送される。印刷はされていない。各トークを聞いて問題用紙に印刷された設問(設問は放送される)と解答を読み、4つの答えの中から最も適当なものを選び解答用紙にマークする。トークの中で聞いたことと、問題用紙に印刷された図などで見た情報を関連づけて解答する設問もある。各トークには質問が3問ずつある。 |
リーディングセクション(75分間・100問) 印刷された問題を読んで設問に解答 | |
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Part5 | 短文穴埋め問題 30問 不完全な文章を完成させるために、4つの答えの中から最も適当なものを選び解答用紙にマークする。 |
Part6 | 長文穴埋め問題 16問 不完全な文章を完成させるために、4つの答え(単語や句または一文)の中から最も適当なものを選び解答用紙にマークする。各長文には設問が4問ずつある。 |
Part7 | 1つの文書:29問 複数の文書:25問 いろいろな文書が印刷されている。設問を読み、4つの答えの中から最も適当なものを選び解答用紙にマークする。文書内に新たな一文を挿入するのに最も適切な箇所を選ぶ設問もある。各文書には設問が数問ずつある。 |
TOEICで高いスコアを取りやすいのはリスニングセクション
TOEICでリスニングセクションとリーディングセクション、高いスコアを取ることができるのはリスニングセクションです。
日本のTOEICを主催する国際ビジネスコミュニケーション協会(IIBC)が公開した第261回(2021年1月10日 午後)TOEIC公開テストの結果を見てみましょう。
平均点はリスニングセクションが334.6点、リーディングセクションは278.9点となっており、リスニングセクションの方が55.7点高くなっています。この差は結構大きいですね。
リスニングセクション | リーディングセクション | 合計 | |
最高スコア | 495 | 495 | 990 |
最低スコア | 5 | 5 | 10 |
平均スコア | 334.6 | 278.9 | 613.6 |
標準偏差 | 83.6 | 95.2 | 170.4 |
ちなみにここで出てくる標準偏差というのは、平均値に対するバラツキを示します。
(各人のスコア ー 平均値)2÷ 人数(=分散)の正の平方根で計算するのですが、バラツキが小さければ標準偏差は小さく、大きければ標準偏差は大きくなります。
つまり、リスニングセクションの方がバラツキが小さいということですね。
もう少し見てみましょう。今度はスコアゾーン別の人数をグラフで表してみます。平均スコアの説明で見られたように、リスニングの方が右側のスコアの高いゾーンの人数が多くなっていて、平均スコアが高いのがわかります。
また、標準偏差で見たように、リスニングのグラフのほうが高い山になっていて、リーディングがなだらかな山になっていて、リーディングの方がバラツキが大きい、つまり高い点を取る人も低い点を取る人も多くなっていることがわかります。
さて、このリスニングセクションとリーディングセクションの違いはなぜ起こるのでしょう?
一つの要因に得点確率があります。
リーディングセクションの選択肢は100問すべて4肢択一ですが、リスニングセクションはPart2が3肢択一です。
単純にすべてをランダムで解答したときの正答数の期待値は、
リスニングセクション:
75問 × 25% + 25問 × 33% ≒ 27.1問
リーディングセクション: 100問 × 25% = 25問
ということで、リスニングセクションの方が10%くらいスコアが高いことが期待できます。
ですが、それだけではありません。
リスニングセクションとリーディングセクションでは、問題の質そのものも異なると考えたほうがいいです。
先ほどのグラフを見てみると、赤い丸で囲んだリーディングセクションの高得点ゾーン、470点以上のスコアを取得した方が、リスニングセクションと比較して非常に少なくなっています。
実数では、リスニングセクション2,239人、リーディングセクション467人と、5倍近くの差が出ています。
つまり、リーディングセクションは試験そもそもの難易度が高く、満点を狙うのが難しいと言えそうです。
TOEIC満点の条件
TOEIC満点を取るための条件は、
- リスニングセクションの誤答数を3~4問に抑える
- リーディングセクションの誤答数を0~1問に抑える
と言われています。
つまりリスニングセクションは少しは間違えてもいいが、リーディングセクションはほぼ全問正解を目指す必要がある、ということです。
これは私の感覚としても正しいです。私の場合、TOEICテストのレベルは、恐らくリスニングセクション、リーディングセクションともに2~4問は間違えるレベルです。そのため、リスニングセクションは満点の495点が取れて、リスニングセクションは480点止まりになりました。
よって、TOEIC満点を目指すには何が何でもリーディングセクションで(ほぼ)全問正解を目指すことになります。
TOEICで満点を取るための勉強法
ここからは、TOEICで900点を超えるようなレベルの方が、満点を目指すためにおこなうべき学習法を説明します。
TOEICの場合、900点と950点でも結構な差があると思いますので、一概には言えないことはご承知おきください。あくまでも目安としての説明になります。
リスニングセクションで満点を取るための学習法
リスニングセクションは先にも述べたように全問正解する必要はありません。一番恐ろしい、テスト中に一瞬気が抜けて聞き逃してしまった、という事があったとしても、何とかリカバリーは可能です。
私がオススメしたい学習法は、
リスニングセクションが450点を超えたら、レベルの高い問題を継続して解き続ける
ということです。TOEICの満点を目指す場合であれば、これだけで十分です。
もちろん「英語耳をつくる」という観点ではさまざまな場面で話される英語に触れることが最も重要であり、ニュース、映画、ドラマなどいろいろな媒体の英語をたくさん聞くことが英語力向上には重要です。
ですが、TOEICのリスニングセクションはそこまでレベルが高いものではなく、TOEICとしてレベルの高い問題に多く触れておけば、スコア自体は満点に達します。
なぜTOEICの問題が重要なのかというと、TOEICのスコアが上がるとわかってくると思うのですが、普通に問題を問いているはずなのに、いつもどおりに答えられないような問題が出てくることがあると思います。
これは私も、スコアが低かった頃には全然気づかなかったのですが、リスニングセクションで480点を取れるようになった頃、普通に聞いていて大体内容が把握できるのに、たまにわけがわからなくなることがあることに気づきました。集中力不足とか、気が抜けて聞き逃してしまった、と考えていたのですが、実はそれは違います。
TOEICの問題の中には、たまにハイレベル問題という、普通に答えようとしても答えられないような難しい問題が混ざっています。
これを私はいじわるTOEIC問題と呼んでいます。
- 使われる言葉のレベルが高い
- 設問の順番に読まれない(全3問あるとして、3番目⇨2番目⇨1番目の順に話していく)
- ひっかけのための言葉が多用されている など
TOEICも当然スコアをつけるテストなのですから、受験者を振り落とす問題が出てくるのも必然なのですが、スコアが900点を超えたら、そうした問題への対応も考えるべきです。
対策としては、以下の本がリスニングに特化していてオススメですね。
【新形式対応】TOEIC(R)テスト 990点 新・全方位 リスニング
TOEICリスニングセクションで高得点が取れるようになったら、いちいちレベルの低い問題を含む全体問題集を解くのは時間の無駄です。
ハイレベル問題を多数問いて、試験の対応能力を上げましょう。それがリスニングセクション満点の鍵になります。
リーディングセクションで満点を取るための学習法
リーディングセクションで満点を取るための学習方法は、リスニングセクションとは異なります。
なぜかというと、数問のミスの許されるリスニングセクションとは異なり、リーディングセクションは1問のミスも許されないと考えるべきだからです。
ここでは2つの対策を同時進行すべきであると提言します。
リーディングセクションが450点を超えたら、レベルの高い問題を継続して解き続ける+リーディングスピードを高める訓練をおこなう
レベルの高いTOEIC問題を解く
リーディングセクションにおいて、レベルの高い問題が存在します。私の経験として、リーディングセクションの長文問題で、問題を問いていて不自然なくらい時間がかかってしまう問題がありました。
これはやはりいじわるTOEIC問題によるものです。
- 使いなれない言葉を多用して表現がわかりづらい
- 書評や芸術の評論など漠然とした内容が問われる
- 文章の順番どおりに設問が聞いてこない など
リーディングについても、レベルを上げるには、レベルの高い問題を集中して解くことが一番の近道です。そのためにオススメなのは、こうした問題集を解くことだと思います。
こちらはリスニング、リーディングともに入っていて、ハイレベル問題演習が可能です。【CD2枚付】TOEIC L&Rテスト990点攻略 改訂版: 新形式問題対応
こちらは新試験に対応していませんのでご注意ください。新試験版もあればよかったのですが、出ていないようです。私はこの模試に大変お世話になりました。真面目にやっても、8割くらいしかくらいしか取れない、ハイレベル問題が集まっています。
TOEICテスト模試 ハイレベル1000問[MP3音声付]
リーディングスピードを上げる
リーディングセクション対策としては、レベルの高い問題を解くだけでは不十分です。絶対的なリーディングスピードを上げることにも取り組んでいただきたいです。
リーディングセクションでよく話題になることとして、
「最後まで終わらなかった」
「時間が足りなかった」
ということがあります。ですが、満点狙いを果たすためには、私は10分くらい余らせてすべてを解答し終わるというレベルを目指す必要があると考えます。
というのが、TOEICの試験の性質から、ハイスピードで問題を解く必要があり、その中ではミスをしている可能性もあるため、1問のミスも許されない状況では、見直し時間をある程度取らなければいけないと考えるからです。
ネイティブスピーカーの読解速度は300語/分らしいのですが、TOEIC満点には200語/分くらいを目指さなければ難しいと考えます。私自身はそこまで到達しておらず、150~170語/分くらいなので偉そうなことは言えませんが、200語/分くらいのスピードを身につけ、見直し時間も十分に取れる状態がTOEIC満点に近い状態であると考えます。
いくらハイレベル問題をこなして、ハイレベルの問題が解けるようになっても、それがハイスピードでなければTOEIC満点にはたどり着けません。
リーディングセクションの満点はかなり壁がたかいですね。
リーディングスピードの上げ方
リーディングスピードの上げ方ですが、これは本や新聞、雑誌など英語の文章をたくさん読むしかありません。
試験対策としては、
- スキャニング・・・必要な文言を文章中から探す能力
- スキミング・・・文章の内容をざっと理解する能力
の2つの能力を向上することが上達への近道なのですが、これはあくまでもテクニックです。実際の読解力を上げるには、やはり文章にたくさん触れるのが一番であると考えます。
とても時間のかかる作業ではありますが、TOEIC満点であっても、この作業を避けては通れないと考えます。TOEIC満点に必須とは言い切れないのですが、こうした努力も必要であると考えます。
まとめ
TOEIC満点を最短で目指す方法についてまとめます。
- TOEIC満点に許される誤答数 リスニング:3~4問 リーディング:0~1問
- リスニングはハイレベル問題対策で満点可能
- リーディングはハイレベル問題対策に加えて英文読解スピード200語/分を目指す
- リーディングで満点を取るには10分余らせて解き終えて見直しするレベルが必要(ノーミスを目指すため)
TOEIC満点の鍵を握るのはリーディングセクションということになりますね。
非常に難しいところではありますが、挑戦権のある方は是非満点を目指してみてほしいです。
ここまでお読みいただきましてありがとうございました。