システム監査技術者

システム監査技術者合格体験記 監査部門未経験でも合格するための秘訣を体験記で紹介

こちらの記事は次のようなことを知りたいという方に向けて書いています。

  • システム監査技術者試験ってどんな試験?
  • システム監査技術者試験の合格体験記が読みたい!
  • システム監査技術者試験はどんな対策をすれば合格できる?
まっすーです。中小企業診断士試験他多くの資格に合格した実績をベースに数々の資格試験の合格アドバイスをしています。
システム監査技術者試験には2017(平成29)年春期試験で一発合格しており、その体験をお伝えしながら、試験の攻略法をアドバイスしますね。

システム監査技術者試験の合格証と得点

説明への説得力を持たせるために、私のシステム監査技術者試験の合格証と得点をアップしておきます。

点数だけ大きくして表示します。

午後II試験はランク表示のみで、Aであれば60点以上ということしかわかりませんが、私は資格試験を受験する際に、80点以上の点数を取ることを目標にして学習します。この理由は、資格試験を受験するならば一発合格が近道であり、一発合格をするためには合格点60点のところを80点取るつもりで学習すれば、合格の可能性が高くなると信じているからです。

ITストラテジスト試験の合格体験記でも書きましたが、午前Iからの受験生の3割程度は午前Iで敗退しています。午前I試験は午前II以降の試験との相関性も低いですし、できれば免除を狙っておきたいところです。

午前I試験の免除は、以下の要件のいずれかを満たすことで、2年間の間受けられます。たとえば、令和3年の春期試験で免除条件を満たした場合は令和5年春期試験まで免除申請が可能です。

高度情報技術者試験は応用情報技術者試験に合格した勢いで、期間を開けずに、長くとも2年に1回のペースで受験していくと効率がいいですね。

受験を志したきっかけ

私のシステム監査技術者試験の受験のきっかけは、業務の中で内部統制や監査に関する勉強をする必要があると感じたからです。

企業の粉飾決算が相次いだことによる内部統制の導入、厳格化は、当然ながらさまざまな業務に影響することになり、私も業務の中でその対応に追われることが多くなりました。その中で、担当部署に言われるままに内部統制の要件を満たすためのプロセス化を文書化をしていくよりは、そもそもどういった視点で統制が行われるべきなのか、要求の根拠は何なのか、といった前提を知っておかなければ効率的な対応ができないと感じました。

そのため、監査に関する勉強をしたい、と思いました。私の場合、勉強するのであれば資格を取得するのが手っ取り早い、と思っていますのでいつもどおり資格の検討を始めました。

その検討内容は別記事にて説明しますが、結果として自らのスキルセット、取得にかかるコスト(費用と時間)やメリット・デメリット、難易度などを考慮して、システム監査技術者試験を志したのでした。

システム監査技術者試験は、1~4のスキルレベルを設定している情報処理技術者試験制度のスキルレベル4(高度情報技術者試験)に該当し、その中でもITストラテジストと並んで最高の難易度と言われています。

最高難易度の試験、というだけでモチベーションが上がりますよね。

試験研究

私が資格試験をおこなう際に実施するのが試験研究です。

これは、資格試験の参考書や過去問などを見て、どのような学習をすれば最も効率的に学習を進められ、一発合格の可能性を高めて高得点で合格できるかを考えます。

まず、試験の形式、時間割について確認します。

試験時間だけで合計5時間の長丁場、しかも面倒な記述式・論述式が後半にありますので、体力を温存する意味でも、できれば午前Iは免除を狙いたいですね。
それでは、それぞれの試験について見てみます。

午前I試験

私はそれまでに高度情報技術者のデータベーススペシャリスト試験、ITストラテジスト試験に合格していましたが、その際には午前I試験は受けていませんでした。ですが、システム監査技術者試験時には、ITストラテジスト試験合格から2年半が経過していたため、受験が必要となり、試験対策をしなければなりませんでした。

下記は応用情報技術者試験の試験範囲の説明ですが、高度情報技術者試験の午前Iは、同時期に実施される応用情報技術者試験の80問から選ばれた30問が出題されます。ですので、基本的には応用情報技術者の午前試験の対策と同じで問題ありません。

試験時間150分。四肢択一式(マークシート使用)で80問出題され全問解答。素点形式で採点され60点以上で合格(満点は100点)。

問1-問50:テクノロジ系(コンピュータ科学基礎・ハードウェア・稼働率・ソフトウェア・論理回路・データベース(SQL、正規化)・ネットワーク・セキュリティ・設計)
問51-問60:マネジメント系(DFD・開発規模、工数など)
問61-問80:ストラテジ系(全体計画立案・業務改善・契約タイプ・経営戦略・ABC分析・利益や費用の計算・関係法規など)
Wikipedia応用情報技術者試験より

応用情報技術者試験の対策でもそうですが、基本的には過去問演習で十分に合格点の60点は確保可能です。高度情報技術者試験の過去問では問題数が少ないと感じる場合は、応用情報技術者試験の過去問も学習範囲に入れてもいいかもしれません。

ただ、時間はできる限りかけず、他の試験対策に時間をかけた方がいいと私は思います。

まっすーの研究結果と試験対策:システム監査技術者午前I試験

過去問演習で十分に合格可能!

午前II試験

午前II試験からは、システム監査技術者の専門分野を中心に出題されます。
午後II試験は、試験時間は40分、4肢択一式で25問出題されます。

出題範囲は以下のとおりです。

スキルレベル4
  • システム監査
  • 情報セキュリティ
  • 法務
スキルレベル3
  • データベース
  • ネットワーク
  • システム開発技術
  • サービスマネジメント
  • 経営戦略マネジメント
  • 企業活動

システム監査技術者試験は、監査系の資格であるためシステム監査や法務をメインにしますが、当然システムに関する知識がなければシステム監査はできませんので、テクノロジ系の情報セキュリティ、データベース、ネットワークやシステム開発技術に関する知識も必要となります。

スキルレベルの3と4では、4の方がより高度なことを問われることになるのですが、正直4択試験でのレベルは過去問対策で十分可能なレベルであり、あまり意識することはないと考えます。

こちらも午前I同様、過去問演習で時間をかけずに対策したいところです。

まっすーの研究結果と試験対策:システム監査技術者午前II試験

午前I同様、過去問演習で十分に合格可能!

午後I試験

情報技術者試験は午後試験からが本番です。

とはいえ、高度情報技術者試験の場合は午後IIの記述式、論述式試験が真の試験であり、午後Iは難易度は比較的高いものの、ここで苦戦するようでは午後IIでの戦いは少し厳しいかもしれません。

システム監査技術者試験の論述式試験の場合は、午後Iの事例演習と、午後IIの自らの体験の論述では難易度の方向性が違いますので、一概に難易度の相関性が高いとは言い切れませんので、望みはあるかもしれません。

一方で、ネットワーク・データベース・エンベデッドシステムスペシャリスト試験の記述式試験では午後Iで苦戦する場合、午後IIの合格はほぼ無理だと思います。午後IIは午後Iの完全上位互換の試験となり、難易度が段違いに上昇します。

さて、午後I試験の概要は以下のとおりです。

記述式で3題が出題され、その内2題を選択して解答します。この記述式の問題は、以下のテーマで出題されます。

  1. 情報システム・組込みシステム・通信ネットワークに関すること
  2. システム監査の実践に関すること
  3. システム監査人の行為規範に関すること
  4. システム監査関連法規に関すること

システム監査技術者試験ですので、当然ながらシステム監査に関する問題がメインで出題され、監査に関する理論を詰めておくのが重要です。しかしながら、前述したとおり監査をするためにはシステムについて理解しておかなければならないため、監査をする前提としての情報システム・組込みシステム・通信ネットワークに関する知識を聞いてくる可能性があり、その対策もしておく必要があります。

午後I試験は試験時間が90分で2問を回答しますから、1問あたりの時間は45分。1問あたり3~4ページの記述があり、設問も長文のものがあるため基本的には時間が足りない状態になることが大いに想定されます。

もし、午後I試験で難しいと考えられるのであれば、過去問研究が不足している可能性があります。システム監査技術者試験はIT監査手続きに関する出題が多く、監査的な視点を持っていなければ回答が難しいところがあるのですが、問題文で与えられるシステムを利用した業務の運用状況には、明らかな問題点や課題が散りばめられていて、過去問を多くこなすことで、そうした問題点、課題の抽出は可能になると考えます。

そのため、過去問を5年分やってみても太刀打ちできないようであれば、更に過去にさかのぼって過去問を説いてみることをオススメします。高度情報技術者試験の午後I試験は、解法のテクニックが色々と必要になってくる中小企業診断士試験の二次試験とは異なり、素直に問題文に記載されていることを参照して書けばOKなことも多く、問題をこなしていくことで見えてくるものがあると思います。

過去問演習を効率的におこなうためにも、解説が充実している参考書で解説されている過去問の事例数問をじっくりと取り組んでみることをオススメします。私は試験研究をおこなう際には大きめの書店に行って、各参考書をそれぞれ調べてから購入するのですが、そのときにベストと考えて購入したのが、こちらの参考書でした。午後II試験の対策もポイントを押さえた解説をしてくれています。

あとは、文章をまとめる能力は非常に重要です因果関係で説明すること、例えば「○○を提案する。理由は△△だからである。」といった表現にすることや、言い回しをコンパクトにして字数制限以内に自然に収めることは点数を上げるために必要です。これも少し練習が必要な領域です。

なお、いくつかの情報技術者試験を受けている立場としての感想ですが、記述式の試験については、模範解答どおりに解答していなければすべて0点ということはなく、複数解答が用意されているか、基準が設定されているかしていて、書いておけば何らかの部分点が与えられるなどの設定がされていると考えます。試験のテクニックとして、解答を1つに絞るのが難しければ文章をコンパクトにまとめて2つの要素を盛り込んで、部分点を狙いに行く、といった手法も有効です。

まっすーの研究結果と試験対策:システム監査技術者午後I試験

過去問で経験を積むのが重要。因果関係で説明する、コンパクトに文章をまとめるといったテクニックを身につける

午後II試験

いよいよ午後II試験、論述試験です。

私の場合、2年前にITストラテジスト試験を受験し、一発合格していたため論述試験の対応方法は理解していました。ですが、ITストラテジスト試験では自らが担当した業務から論述のネタをいくつか準備をすることができましたが、私は監査側として業務をしたことはなく、論述のネタには苦労することが想定されました。

論述のネタという観点では、先程ご紹介したこちらの参考書をベースにする方がいいと感じました。

この参考書では、各監査論点について、課題と対策の対応関係を明確にしていて、監査業務の未経験者であっても、効率的に内容を把握することが可能です。

各ネタさえあれば、あとは高度情報技術者試験の論述試験はITストラテジスト試験と同様に、基本的なテクニックを身に着けておけば大丈夫です。たとえば、こんな感じです。

午後II対策の基本
  1. 論述のネタは事前につくっておく。5~6例作るのが望ましい。
  2. 試験問題が想定と異なっていたとしても、何とか準備していたネタが使えるように論述を構成する。その場の思いつきでの答案構成はしない。
  3. 論述は因果関係を明確にして記述する。わざとらしいくらい因果関係を意識して、つまらない文章でも構わない。
  4. 時間配分は非常に重要。最初30分で答案構成、残り90分で記述することをベースにする。
  5. 章立て、字下げ、禁則処理などを的確におこなう。
  6. できるだけ事前に3,000文字の論述を体験しておく。

これらのテクニックは、私の場合はITストラテジスト試験対策時にこちらの参考書を利用して身につけたものでした。

情報処理教科書 ITストラテジスト 2022~2023年版

ITストラテジスト試験の合格体験記でも述べていますが、この基本テクニックを守ると守らないとで、A評価とB評価の差くらいにはなる可能性があります。こんなテクニックがなぜ重要なの?と思われるかもしれませんが、自分が思いのままに書いた論述というのは、自分ではわかるかもしれませんが、他人である採点者にとっては読みにくく、わかりづらいかもしれません。

その「わかりづらさ」を極力排除し、できるだけ簡潔にわかりやすくするためのテクニックが上記の基本テクニックです。自分で作り上げた論述試験の答案を、採点者によく読んでもらうためにも、基本的テクニックの習得を強くオススメします。

まっすーの研究結果と試験対策:システム監査技術者午後II試験

基本テクニックをしっかりと身につけ、システム監査でポイントとなる監査課題、対策を理解して論述のネタを準備しておく。

実際の学習

午前I・II試験は過去問のみだが午前Iは少し対策が必要

システム監査技術者試験では、午前I試験から受験しました。午前I試験の内容は、前述のとおり同日におこなわれる応用情報技術者試験の午前試験80問から30問が出題されます。

私の場合はそれまでに応用情報技術者試験やデータベーススペシャリスト試験、ITストラテジスト試験に合格していましたので、マネジメント系やストラテジスト系はある程度覚えている内容もあり、午前I試験の過去問を数年間解いてみて、合格点の取得は可能であることがわかりました。

ですが、テクノロジ系については、応用情報技術者試験から5年が経過しており、内容をすっかり忘れていました。システム監査技術者試験という非常に難易度の高い試験の受験を志す、意識の高い方々ですら、午前I試験で不合格になる方が3割ほどいるわけですから、午前I試験の対策を怠るわけにはいきません。

そのため私は、テクノロジ系に限っては応用情報技術者試験の過去問を5年分解くことにしました。とはいえ、複雑な計算問題や、あまり重要な論点でなさそうな問題は理解をすることは諦めて答えをなんとなく覚えるにとどめ、効率を優先して学習していきました。

なお、午前IIは5年分やっておけば大丈夫かと思います。システム監査技術者試験の午前IIは常識的な考え方をしていれば(リスク回避の視点をもつなど)正解できる問題も多く、それほど困難ではありません。不合格者の割合も、午前Iの3割と比較して1割程度しかいません。

システム監査技術者午前I・II試験の勉強

過去問のみ5年分、ただし午前Iテクノロジ系はすっかり忘れていたため応用情報技術者試験を5年分(10回分)実施

午後I試験も過去問のみ

午後I試験は記述式試験ですが、これは実際に過去問を解いてみて、システム監査で必要となる課題や問題点の抽出、リスク回避の視点や統制するための手法についての提案ができるかどうかを見極めます。

何年分か解いてみて、模範解答とそれほどずれていなければいいのですが、もしそうでない場合は問題の解き方を見直してみたり、監査に関する論点の学習をおこなったりした方がいいかもしれません。

特に問題の解き方については、大きく分けて以下の3つに分かれると思います。

  1. 設問を先に読んで、聞かれた内容を把握する(設問解釈)
  2. 問題文を斜め読みして設問で聞かれている内容を抽出する(スキャニング)
  3. 設問に合った回答方法で記述して回答する(文章要約)

これらのテクニックが身についているのであれば、システム監査技術者午後I試験はそれほど難しい試験ではないと考えます。その理由は、設問と問題文の関係が比較的明確ですし、回答方法も素直に回答すれば正答できるものが多いと考えるからです。

私の場合は、過去問を5年分もやれば十分な手応えを感じられました。

システム監査技術者午後I試験の勉強

過去問のみ5年分

午後II試験はネタ作りに集中

午後II試験対策は、基本的な論述のルールが理解できていれば、あとは論述のネタを考えておくことにつきます。

ITストラテジスト試験試験では、こちらの記事にあるように各システムプロジェクトについてのストーリーに沿った5つのネタを作っておきましたが、システム監査技術者試験では、ITストラテジスト試験のストーリーラインを使いつつも、監査的な視点でこうした課題に対しては、こうした対策やチェックをする、といった対応関係をまとめておいて、状況に応じてそれらを組み合わせて使うことにしました。

過去問対策というのも午後II試験では難しいのですが、一応過去問で聞かれたことと論述のネタ、監査論点の結びつけは非常に重要ですので、こちらの記事で説明しているように過去問の設問と書くべき論述の解答の骨子を結び付けられるように練習をしておきました。

午後II試験対策として1つでもいいから論述を実際に書いてみる、ということがありますが、ITストラテジスト試験同様、システム監査技術者試験でも私はそれをやりませんでした。時間的な制約もありますし、なかなか練習で論述を書くのは難しいです。

システム監査技術者午後II試験の勉強

論述のネタ作りと過去問とネタの結びつけを練習しておく

試験結果とその後

試験結果はこの記事の最初の方に出していますが、無事合格でした。80点を目指して勉強した結果、得点が開示される区分はすべて80点以上でしたので、満足のいく結果となりました。もちろん、試験自体は60点以上を取ればよく、点数が実際の評価に影響することはありませんので、あくまで自己満足です。

合格して実感したのは、やはりITストラテジスト試験のような別の論述試験のある高度情報技術者試験に合格しておくと、試験対策や試験本番での対応がとても楽に感じる、ということでした。

やはり情報技術者試験は複数取得する方向で考えていくと、コスト(時間や費用)も押さえられるように思われます。もちろん、不要な資格を取得する必要は全くありませんが。

システム監査技術者試験は、システム系の知識があることはもちろん、監査に関する知識の証明にもなりますし、今後のキャリアの一つとして監査部門への道が開かれたことになりますので、とても有益な資格だと考えます。

以上、お読みいただきましてありがとうございました。

ABOUT ME
まっすー
中小企業診断士のまっすーです。 社会保険労務士やITストラテジストなど、多くの難関資格に合格した実績をベースとした資格試験の学習方法、ExcelマクロやPythonを活用した自動化の推進、経営に役立つ管理会計の理論解説、ITを活用した経営資源の有効活用などの情報を発信しています。

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