こちらの記事は次のようなことを知りたいという方に向けて書いています。
- データベーススペシャリスト試験ってどんな試験?
- データベーススペシャリスト試験の合格体験記が読みたい!
- データベーススペシャリスト試験はどんな対策をすれば合格できる?
システム監査技術者試験には、中小企業診断士試験に合格した翌年の2013(平成25)年春期試験で一発合格しており、その体験をお伝えしながら、試験の攻略法をアドバイスしますね。
データベーススペシャリスト試験の合格証と得点
説明への説得力を持たせるために、私のデータベーススペシャリスト試験の合格証と得点をアップしておきます。
点数だけ大きくして表示します。
午後II試験は、ITストラテジスト試験やシステム監査技術者試験のような論述式ではランク表示のみで、Aであれば60点以上ということしかわかりませんが、データベーススペシャリスト試験やネットワークスペシャリスト試験のようなスペシャリスト試験の記述式試験は点数が出ます。
私は資格試験を受験する際に、80点以上の点数を取ることを目標にして学習します。この理由は、資格試験を受験するならば一発合格が近道であり、一発合格をするためには合格点60点のところを80点取るつもりで学習すれば、合格の可能性が高くなると信じているからです。
一発合格を目指す理由は、こちらの記事で詳しく説明しています。
私の場合は、後述する対策のおかげで午後II試験でも80点以上の高得点で合格することできました。実感としては87点も取れるような出来ではなかったのですが、最後まであきらめず答案を書き続けたことが結果につながったのかと思います。
なお、午前I試験はその前年春に応用情報技術者試験に合格していたため免除を受けています。午前I試験では高度情報技術者試験の本番である午後I・午後II試験とは直接関係のない論点が多く、対策に時間をかけるのはもったいないです。
また、ITストラテジスト試験の合格体験記やシステム監査技術者試験の合格体験記でも書いていますが、午前Iからの受験生の3~4割程度は午前Iで敗退しているため、できることなら受験しないで済ませるほうがいいですね。私の受験した2013年ですと、4割超の方が午前Iで不合格となりました。
情報技術者試験の場合、先に実施した試験で不合格になるとその先の答案は採点すらされませんので、午前Iで不合格になってしまうと午前II・午後I・午後IIのを受けても点数がつきません。自分のレベルを知って次に活かす、といったこともできませんので可能な限り午前Iは回避しましょう。
午前I試験の免除は、以下の要件のいずれかを満たすことで、2年間の間受けられます。たとえば、令和3年の春期試験で免除条件を満たした場合は令和5年春期試験まで免除申請が可能です。
高度情報技術者試験は応用情報技術者試験に合格した勢いで、期間を開けずに、長くとも2年に1回のペースで受験していくと効率がいいですね。
受験を志したきっかけ
私のデータベーススペシャリスト試験の受験のきっかけは、以下の2つです。
- データベースに関する体系的な学習がしたかった
- 高度情報技術者へのあこがれ
データベースに関する体系的な学習がしたかった
私が経理部門で業務をしていくにあたって、Microsoft Accessをよく使っており、単純な情報集計のためのテーブルやクエリの作成にとどまらず、他人の作成したクエリの解析やSQLを書くなど、データベースに関する知識がそれなりにあったため、データベースに関する体系的な学習をしてみたいと思ったことです。
もちろん、本を読んで学習することも可能なのですが、私の場合は学習するならば資格取得を志したほうが本気で学習するし、大変でも資格という後に残せるものがあるため、基本的に資格取得を目指します。学習したかどうかは正直なところ自己申告になってしまうので、他人にはそのレベルがわかりませんが、資格を取得すればどの程度学習したかが概ねわかりますので、最も近道な学習の証明になります。
データベースに関する資格はORACLE MASTERがありますが、取得にかかるコスト(費用・時間)と難易度、評価の高さを考慮して、データベーススペシャリストを受験するほうがいいと考えました。
高度情報技術者へのあこがれ
とても単純な理由ですが、基本情報技術者試験、応用情報技術者試験に挑戦していく中で、情報技術者試験の中で最高位に位置する高度情報技術者へのあこがれが私の中にありました。
私自身は経理部門にいましたので、高度情報技術者試験はオーバースペックと言えるものだったのですが、IT部門の方でも取得者が少ない高度情報技術者を保有できればかっこいいな、と思うようになりました。
これは受験の動機としてはあまりいいとはいえないのかもしれませんが、一方で、高度情報技術者のもつ社会的評価の高さは感じていたため、保有のメリットはあると感じました。
レベルにもよりますが、ITベンダーの方で保有資格を名刺に書くのは高度情報技術者資格から、というのが多いように思えますしね。
試験研究と対策
私が資格試験をおこなう際に実施するのが試験研究です。
これは、資格試験の参考書や過去問などを見て、どのような学習をすれば最も効率的に学習を進められ、一発合格の可能性を高めて高得点で合格できるかを考えます。その上で試験対策を決めていくのです。
まず、試験の形式、時間割について確認します。
午後Iの記述式が90分、午後IIの記述式が120分です。午後IIが論述式となるITストラテジスト試験やシステム監査技術者試験は、簡単に言ってしまえば試験開始30分で解答骨子ができさえすれば。あとは残り90分で手の痛みに耐えながら書いていけばいいという、主に試験前半の戦いになります。
一方で、スペシャリスト試験の記述式は、あくまで私の感想ですが120分フルで全力で頭をフル回転させて挑まなければならない、非常に疲れる試験です。
途中でわけがわからなくなって投げ出したくなる感情を押さえつつ、ただ淡々と目の前の業務要件とシステム要素を結びつけていくような作業を、時間が全然足りない中120分続けるようなイメージです。
試験中の大変さという意味では、記述式のほうが楽そうに見えますが、私としては論述式のほうが楽なのかな、と思います。
午前Iから合計すると、試験時間だけで5時間の長丁場、しかも最後の最後に全力で挑まなければならない午後IIの記述式がありますので、体力を温存する意味でも、できれば午前Iは免除を狙いたいですね。
それでは、それぞれの試験について見てみます。
午前I試験
私は、午前I試験は応用情報技術者試験の合格による免除を利用できましたので、データベーススペシャリスト試験の受験時には受験しませんでした。ですが、2017年のシステム監査技術者試験時に受験しています。
その時の研究結果を記載します。
下記は応用情報技術者試験の試験範囲の説明ですが、高度情報技術者試験の午前Iは、同時期に実施される応用情報技術者試験の80問から選ばれた30問が出題されます。ですので、基本的には応用情報技術者の午前試験の対策と同じで問題ありません。
試験時間150分。四肢択一式(マークシート使用)で80問出題され全問解答。素点形式で採点され60点以上で合格(満点は100点)。
問1-問50:テクノロジ系(コンピュータ科学基礎・ハードウェア・稼働率・ソフトウェア・論理回路・データベース(SQL、正規化)・ネットワーク・セキュリティ・設計)
問51-問60:マネジメント系(DFD・開発規模、工数など)
問61-問80:ストラテジ系(全体計画立案・業務改善・契約タイプ・経営戦略・ABC分析・利益や費用の計算・関係法規など)
Wikipedia応用情報技術者試験より
応用情報技術者試験の対策でもそうですが、基本的には過去問演習で十分に合格点の60点は確保可能です。高度情報技術者試験の過去問では問題数が少ないと感じる場合は、応用情報技術者試験の過去問も学習範囲に入れてもいいかもしれません。
ただ、時間はできる限りかけず、他の試験対策に時間をかけた方がいいと私は思います。
過去問演習で十分に合格可能!
午前II試験
午前II試験からは、データベーススペシャリストの専門分野を中心に出題されます。
午後II試験は、試験時間は40分、4肢択一式で25問出題されます。
出題範囲は以下のとおりです。
スキルレベル4
- データベース
- 情報セキュリティ
スキルレベル3
- コンピュータ構成要素
- システム構成要素
- システム開発技術
データベーススペシャリストだけではないのですが、スペシャリスト試験の午前IIの範囲はとても狭いです。もちろんその分深い内容が問われることになるのですが、午前II試験の場合はスキルレベル3と4の差もそれほど感じられません。所詮4択問題ですので、難易度を上げるにも限界がありますしね。
そのため、データベーススペシャリスト午前II試験は過去問を解くことで試験のレベルを理解しつつ、問題に慣れておけば大丈夫かと思います。
午前試験には時間をかけず、難易度が格段に上がる午後試験対策に時間を使いたいところですね。
午前I同様、過去問演習で十分に合格可能!
午後I試験
情報技術者試験は午後試験からが本番です。
午後といっても、高度情報技術者試験の場合は午後IIの記述式、論述式試験が真の試験であり、午後Iは難易度は比較的高いものの、ここで苦戦するようでは午後IIでの戦いは厳しいかもしれません。
特に高度情報技術者試験の中でも、ネットワーク・データベース・エンベデッドシステムスペシャリスト試験といった、スペシャリスト系の記述式試験では、午後Iで苦戦する場合、午後IIの合格はほぼ無理だと思います。午後IIは午後Iの完全上位互換の試験となり、難易度が段違いに上昇します。
さて、午後I試験の概要は以下のとおりです。
記述式で3題が出題され、その内2題を選択して解答します。この記述式の問題は、以下のテーマで出題されます。
- データベース設計
- データベース実装
- SQL
私が受験した2013年には、データベースの基礎理論に関する問題として、関数従属図の記述や部分的・推移的関数従属性の指摘、正規化候補キーの摘示など、回答方法の型を理解しておけば比較的容易に正答できる問題が多かったのですが、近年問題の傾向が変わっています。
具体的には、よりデータベース設計の作業に近い形となっており、午後II試験で出題されていた内容のミニ版といった内容になっています。そのため、午後I試験の対策をするというよりは午後II試験の対策をすることが午後I試験の対策にもつながる、といった形です。
データベース実装やSQLについては、過去の試験ではある設問を絞り込むことで回避することもできていたのですが、午後I・午後IIともに出題が多くなり避けることはできなくなっています。
そのため網羅的に学習しておく必要があります。
午後I試験の対策としては、やはり過去問対策が有効です。実際に問題を解いてみて自分の弱点を探して理解を深めていく、過去問アウトプット学習が合格への近道と考えます。
過去問アウトプット学習理論はこちらの記事で詳しく書いています。
私はデータベースに関する知識はそれなりに持っていましたが、試験対策としては不足していましたので、参考書を使う必要性を感じていました。書店に行って参考書を色々と見た結果、問題文に対する解答のアプローチ方法の解説がわかりやすい、こちらの参考書を使用しました。
午後I試験は試験時間が90分で2問を回答しますから、1問あたりの時間は45分。1問あたり3~4ページの記述があり、設問も長文のものがあるため時間が足りない状態になることが大いに想定されます。
もし、午後I試験で難しいと考えられるのであれば、過去問研究が不足している可能性があります。過去問を解く場合には、設問解釈→問題文の内容把握→回答作成の手順を素早く繰り返していくことが重要です。最初は答えを見てしまっても構わないので、なぜその回答になるのかを考えながら、設問の求める内容をしっかりと把握していきましょう。
その上で、過去問を繰り返し解いてみてスピード感をもって解答することができるかを確認していきましょう。
データベーススペシャリスト午後I試験で問われる問題は、そこまで複雑なものはありません。手順をしっかりと踏んで、問題文に記載された業務要件を見落とさずに拾っていければ、対応可能です。ただし、問題形式への慣れや、試験の対応テクニックといったものがひつ王になりますので、ある程度過去問で慣れておく必要はあるでしょう。
なお、過去問演習を効率的におこなうためにも、解説が充実している参考書で解説されている過去問の事例数問をじっくりと取り組んでみることをオススメします。IPAのサイトで過去の本試験問題をダウンロードすることも可能ですが、少なくとも一冊は過去問解説のある書籍を入手しておきましょう。
ちなみに私は午後I試験については過去5年分×3問の合計15問を解きました。午後I試験は1問45分という時間設定となりますので、スキマ時間に解くことも可能かな、と思います。
過去問で解答手順をしっかりと固めることが重要。できるだけ多くの過去問に当たっておく!
午後II試験
いよいよ午後II試験、120分で1問を解答するハードな記述式です。
2問が出題され、うち1問に解答します。以下のそれぞれ1問が出題されるため、得意だと思う方に集中した対策するということも可能と考えます。
- 物理データベース設計
- 論理データベース設計(概念データモデルと関係スキーマ)
私は主に論理データベース設計の方が得意でしたので、論理データベース設計を試験対策の中心としていました。
なお、データベーススペシャリスト試験の場合、午後Iと比較して午後IIの難易度は当然上がるのですが、実はやることはほとんど変わりません。時間配分を見ればわかりますが、午後Iは1問45分で解答するのに対し、午後IIは1問120分かけて解答します。
つまり3倍近いボリュームになる、ということですね。試験対策としては、午後Iとほぼ同じく、過去問を解くことが非常に重要です。特に、120分かけて実際に問題演習をしてみて、どれくらい解答可能かという自分のレベルをしっかりと把握しておく必要があるでしょう。
もし120分かけても合格レベルに達するとは思えない、という状態であれば以下の内容を確認してみましょう。
- 自分の解答と模範解答がかけ離れている
→問題文の内容をしっかりと把握できていない可能性あり。
問題文の読み方、設問解釈の練習をおこなう。 - 業務要件の理解はできたものの、模範解答と作成した解答が異なっている。
→データベース設計のスキルが不足してい。主に過去問から複数のパターンを学習し、身につける。 - 時間が足りなくて終わらなかった
→すべて解答するだけの時間が足りないのは普通。8割の解答ができることを目標にスピードアップに望む。具体的には解答手段をパターン化し、業務要件を即座に解答に落とし込めるよう練習する。 - 集中力が切れてしまうのが不安。
→本番は大丈夫のはず。本番で実力を出し切るためにも事前の準備をしっかりすることと、試験前数日の体調管理をしっかりする。
当然なのですが、過去問をたくさん解いて、この要件の場合はこのようにE-R図に反映させればいい、といったパターンを理解するようにしておけば、午後II試験といっても恐くはありません。問題のボリュームがとても大きいため、物怖じしてしまうかもしれませんが、過去問演習に勝てる対策はありませんので、どんどん問題を解いていきましょう。
私は午後II試験でも過去5年分の過去問を解きました。1年2問×5年ですので10問解いたことになります。論理データベース設計の問2だけ解くという方法もありましたが、一発合格を志す者として、万が一問2が超難問だったときに問1に切り替えられるように一応対策はしていました。
- 試験対策を物理データベース設計と論理データベース設計のどちらを中心にするか決めておく。
- 過去問を解いていくことでさまざまな出題パターンを把握して、スピードアップを図る。
- 当日集中力を切らさないように体調を万全に整える。
試験結果とその後
試験結果はこの記事の最初の方に出していますが、無事合格でした。
一発合格するために80点を目指して勉強していましたので、すべて80点以上という結果には満足でした。欲を言えば午後IIであと3点取って、上位20人の仲間入りしたかったですが、それは望みすぎですね。
午後II試験は受験した方であればわかると思いますが、時間が本当に足りず、特に途中で何度も「解答用紙をぶん投げて今すぐ帰りたい!」という諦めの境地に入ることもありましたが、なんとか平静を保ち、解答用紙を8割位は埋められたかな?という状態で終了しました。
結果が87点でしたので、解答用紙を埋められていなくても合格する可能性はあると思います。最後まで諦めずに着実に解答し続けることがデータベーススペシャリスト試験では重要と言えそうですね。
基本情報技術者試験や応用情報技術者試験に合格したときも、自分の中ではITのわかる経理人材ということで、かなりレベルアップしたと感じましたが、データベーススペシャリスト試験に合格すると周囲の私を見る目が変わったように感じます。
特にIT部門の方や外部のITベンダーの方は明らかに変化がありました。高度情報技術者試験合格というのは、IT業界の方には(全てではないでしょうが)かなり重みのある資格なのだと感じさせられます。
経理部門の方はこちらの記事でも紹介していますが、IT化の進展で、今後経理としての専門性を高めていくか、経理以外の専門性を高めていくかの岐路に立っているかと思いますので、スキルをつけていくことは重要と考えます。そのためにはデータベーススペシャリスト試験というのは一つの専門性の確立にもってこいかも知れません。
そして何よりも「データベーススペシャリスト」って響きがかっこいいですよね。もちろんかっこつけるためだけに資格を取るわけではありませんが、数ある資格の中でも名乗るのが嬉しい資格だと私としては思います。
データベーススペシャリストを目指すための教材
データベーススペシャリスト試験は、先に述べたように過去問を多く解いてパターンを理解することで合格が可能であると考えます。ですが、過去問を解く際の解き方や考え方は、ただ答えを見るだけでは理解することが難しく、身につかない可能性があります。
そこで、データベーススペシャリストを目指す方には以下の教材をご紹介します。
先ほど紹介した翔泳社の情報処理教科書は、データベーススペシャリストに合格するためのノウハウがバッチリ収められており、この1冊だけでも合格レベルに達することは可能であると考えます。
ですが、私も大変お世話になったわくわくスタディワールドの参考書もご紹介しておきます。
私が気に入っているのは、解説→例題を積み重ねるアジャイル式学習法を取り入れている点です。私は徹底的なアウトプット学習こそが効率的に資格を取得する方法であると考えており、インプットばかりに偏るのではなく、片っ端からアウトプットしていくことをオススメしています。その学習理念に適った参考書であると考えます。
もし、書籍での学習に向いていない!と思われる方にオススメするのが資格合格パートナーSTUDYingのデータベーススペシャリスト講座です。スキマ時間を有効に活用できて、移動時間などを活かして学習することが可能です。
動画講義で使用するスライドは、「図解」を駆使し、イメージしにくい専門用語や複雑なロジックも関係性を視覚的に理解できるように、また、初学者が躓きやすいSQL文については、実際のシステムの動きを動画講義で確認することで、実践的な学びに繋がるように工夫されているということです。
午後Ⅰ・Ⅱ試験対策も、独学では学びにくい長文問題読解のコツと解法テクニックを伝授してくれるため、実務経験がない方でも安心して学習することができますよ。
以上、お読みいただきましてありがとうございました。