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ITストラテジスト午後II試験対策 論述試験のネタ5つを公開!事前準備をしっかりやれば怖くない

こちらの記事は次のようなことを知りたいという方に向けて書いています。

  • ITストラテジスト午後II試験の対策はどうすればいい?
  • ITストラテジスト午後II試験の論述のネタを教えてほしい!
  • ITストラテジスト午後II試験の論述は実体験を書かなければいけないの?
まっすーです。中小企業診断士試験他多くの資格に合格した実績をベースに数々の資格試験の合格アドバイスをしています。
ITストラテジスト試験には2014(平成26)年秋期試験で一発合格しており、特にその際に考えた午後II論述試験対策がバッチリとはまりました。
そのときに使用した論述のネタを5つ紹介します。

ITストラテジスト試験については、少し古いですが私の2014年度の合格体験記と、午後II試験の再現答案をこちらのリンクで紹介していますので、よろしければご参照ください。

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ITストラテジスト午後II試験について

ITストラテジスト午後II試験の概要

ITストラテジスト午後II試験は論述試験です。試験時間は120分。
それまで午前I(免除可能)・午前II・午後Iの試験をこなしてきて、疲れも出てくる午後2時半から120分の勝負です。

試験の概要はITストラテジスト午後II試験の再現答案紹介記事に詳しく記載していますのでご参照いただけますとありがたいです。

受験した人にしかわかりませんが、答案構成でもいくらかの記述をおこなうため、手書きに慣れていないと、最後の方は手が痛くて痛くてたまりません。

ただでさえ頭が疲れている状態で、手の痛みにも耐えながらなんとか解答を作成する、根性も試される試験だと私は思います。

正直な話、今の時代手書きにこだわる必要はないような気もしますけどね、合格した人は「これが高度情報技術者論述試験の良さなんだよ」とか語るんでしょうか。私は本当につらかった思い出です。ITストラテジスト試験の2年後に受験したシステム監査技術者試験でも同じ痛い思いをしました。

試験制度も、基本情報技術者試験や情報セキュリティマネジメント試験がCBT方式で実施されたりと遅ればせながら変化もありますので、高度情報技術者の論述試験もパソコンが使えるようになるかも知れませんね。

ただ、そうなった場合、答案構成のメモもパソコンなんでしょうかね。筆記よりは速くなるから、試験時間の調整とかもあるのでしょうか。

余談ですが、私がかつて受験した中国語の試験、HSK(漢語水平考試)6級では、作文(科目名は書写)試験があります。
1,000字程度の文章があり、それを10分で暗記して、その後35分間で400字程度の文章に要約するのですが、この試験はCBT方式と筆記方式が選べて、解答時間に差はありませんでした。

午後II試験は設問ア・イ・ウとそれぞれ3つに分けて解答します。ただし、構成としてはそれで1つの論述になるという形式です。

  • 設問ア・・・システム導入の背景、概要、特徴などを800字以内で述べる
  • 設問イ・・・設問アを実行するための検討内容、立てた方針、調査内容などを800字以上1,600字以内で述べる
  • 設問ウ・・・システム導入の結果、評価、今後の改善点などを600字以上1,200字以内で述べる

文字制限は最低限の基準ですので、○○字以上という記載のある設問イとウは必ず字数以上書きましょう。書ききれていない場合、大幅減点または即失格の恐れがあり、合格は難しいでしょう。

ITストラテジスト午後II試験対策のポイント

ITストラテジスト午後II試験は論述式という特殊な試験です。

中小企業診断士2次試験や高度情報技術者午後I試験等の記述式との大きな違いは、文字数です。

  • 中小企業診断士試験、ITストラテジスト午後I記述式・・・通常20~80字程度、長いものだと200字も
  • ITストラテジスト午後II論述式・・・2,200~3,000字程度
  • (参考)司法試験・公認会計士試験の論文式・・・2,400~3,000字程度

こうしてみると、難易度はともかくとして論述式と論文式の違いは字数ではないようですね。これらの違いはやはり論述式はあくまで体験を語るもので、論文式はある課題に対する見解の記述、という点なのかもしれません。

私の考える午後II対策の基本は以下のとおりです。

午後II対策の基本
  1. 論述のネタは事前につくっておく。5~6例作るのが望ましい。
  2. 試験問題が想定と異なっていたとしても、何とか準備していたネタが使えるように論述を構成する。その場の思いつきでの答案構成はしない。
  3. 論述は因果関係を明確にして記述する。わざとらしいくらい因果関係を意識して、つまらない文章でも構わない。
  4. 時間配分は非常に重要。最初30分で答案構成、残り90分で記述することをベースにする。
  5. 章立て、字下げ、禁則処理などを的確におこなう。
  6. できるだけ事前に3,000文字の論述を体験しておく。

今回の記事は①に特化した、論述のネタをご紹介します。

ITストラテジスト受験者必見!論述のネタ5つ公開

ここからは、私がITストラテジスト試験対策で考えた論述のネタを5つ公開します。試験対策として、私は論述ネタの構成として、

  1. 設問ア対応・・・背景・課題
  2. 設問イ対応・・・(設問アに対する)対応策、検討内容
  3. 設問ウ対応・・・結果・評価

をまとめています。実際の出題は必ずしもこのネタがバッチリと使える状況になる保証はありません。ですが、このネタを作っておいて、実際の出題に合うように調整を行うことで、論述ができるようになります。

ですので、まずはこのネタ作りが重要となります。
ちなみに5つのネタのうち、私が実際に関わったプロジェクトは1つもなく、聞いた話とか、架空の体験談です。

経験から論述せよ、という問題の趣旨からは離れてしまうかも知れませんが、当然ながらどのような問題が出るかわからない試験なのですから、いかに実務経験豊富なIT技術者であっても、設問の趣旨に合う解答が常にできるとは限りません。

経験したことのないプロジェクトの内容を語るのも、ITストラテジストの能力である、と私は確信しています。

ネタ1 生産システム展開 在庫管理レベルの向上

これは私が実際にITストラテジスト試験で使用したネタです。
生産系は結構書くことがたくさんあって、膨らませやすいと思います。

生産システム展開 在庫管理レベルの向上
  1. 背景・課題
    競合他社との競争が激しく、投資のためのキャッシュフロー確保、生産リードタイムの改善が必要
    生産部門では在庫の所在が把握できていないことによる生産遅れが発生している
  2. 対応策、検討内容
    生産システムを在庫の位置情報とリンクさせ、在庫が見える仕組みを導入することで、生産リードタイムの短縮、とする。
    システム対応が煩雑となる生産部門の反発が想定され、なぜこれをおこなうかという教育が必要
  3. 結果、評価
    棚卸資産回転率の改善、生産リードタイムの改善、在庫管理業務の必要時間の削減の結果を得られた

ネタ2 合併を機会としたERPの導入

みんな大好きERPです。実際に導入するのは半端ではない労力がかかりますが、メリット・デメリットを語りやすいので、論述はしやすいと思います。

合併を機会としたERPの導入
  1. 背景・課題
    数年前に対等合併した会社で基幹システムが別になっている状態
    会計システムが別になっており、月次報告も別フォーマットでおこなわれており評価がしづらい問題があった。
  2. 対応策、検討内容
    ERPの導入を決定し、まずは会計モジュールを導入することで会計システム統一することを方針とした。そのための調査として、既存の会計システムの詳細な調査および会計システムへインターフェースされている情報を洗い出し、ERPへの取り込みが可能かどうかを確認した。
  3. 結果、評価
    ERPの導入を可能と判断して会計モジュール導入を実施。当初は混乱も見られたが、ERP導入により既存のシステムメンテナンスコストの削減が可能となり、合併のシナジー効果が得られた。また、月次報告の統一も可能となり、経営陣からも経営判断のための有意な情報が提供されるようになったと好評を得た。

ネタ3 物流システム導入によるグローバル販売効率化

物流システムもプロジェクトを語るにはいい対象であると思います。ただ、論点が広くなりすぎてしまうので、対象は絞ったほうがいいかも知れません。ここでは販売に焦点を当てています。

物流システム導入によるグローバル販売効率化
  1. 背景・課題
    グローバル展開をおこなうメーカーにおいて、各地域ごとに別々の物流システムを使用していた。コード体系や販売在庫管理方法がバラバラで、地域ごとに在庫のダブリや不足が散見されており販売戦略が非効率になっていた。
  2. 対応策、検討内容
    グローバルで統一した物流システムを導入し、コード体系などを統一することで販売在庫管理を効率化する。そのために各地域の物流システムの調査をおこない、システムで実装すべき共通機能を把握、それ以外は各地域でカスタマイズ可能とした。
  3. 結果、評価
    グローバルで共通のシステムを使用することで、販売在庫の一元管理が可能となり、在庫効率がアップして棚卸資産回転率が向上し、在庫不足による失注件数も削減することができた。 また、地域ごとに必要な機能をカスタマイズ可能としたことで、運用の柔軟性も併せ持つシステムとすることができた。

ネタ4 設備メンテナンス情報共有システムの構築

モノではなくサービスを売るIoT時代のテーマですね。こちらも言うは易く行うは難しですが、正論が書きやすいネタだと思います。

設備メンテナンス情報共有システムの構築
  1. 背景・課題
    設備の製造販売をするメーカーで、昨今の競争激化を受け、設備メンテナンスサービスに力を入れている。しかしながら設備メンテナンス情報は各支社で管理されており共有されておらず、様々な課題に対して各支社が独自に対応し技術・製造部門と対策をとっており非効率な状態だった。
  2. 対応策、検討内容
    設備メンテナンス情報を共有可能なシステムを整備し、各支社間で情報を共有することとした。システム導入には各支社の業務対応が増加するため、システム対応に関して各支社にインセンティブを与えること、および各支社ごとの非効率な対応に不満をもっていた製造・技術部門を巻き込み導入を促進した。投資対効果は各支社・部門の案件対応時間の増減で測定することとした。
  3. 結果、評価
    システム導入により、設備メンテナンス情報が各支社・製造・技術部門で共有されたことにより、各支社で同様の案件が発生した際に過去のメンテナンス情報から最も有効な対応を取ることができるようになった。このことによりメンテナンスサービス売上の増加を果たすことができ、予定よりも早い投資回収が可能となった。

ネタ5 食品会社におけるトレーサビリティシステムの導入

少し古いかも知れませんが、食品に関わらずトレーサビリティシステムの導入には調達~生産~販売の一元的な情報管理が必要となり、プロジェクトの苦労話を語りやすいと思います。

食品会社におけるトレーサビリティシステムの導入
  1. 背景・課題
    複数の子会社を運営している食品会社グループにおいて、食品の安全を求める消費者の声は強く、それを確保するためのトレーサビリティシステムが必要となった。すでに商品管理システムは導入されており、これに追跡調査可能な個別システムを加えることとした。
  2. 対応策、検討内容
    トレーサビリティシステムには、調達先情報、加工工場、倉庫、販売先までをロット管理で追跡可能なものとすることとした。このシステムへの投資には、投資してすぐに利益という形で回収可能なものではないが、投資しない場合の顧客からの評価や社会的信頼の低下をリスク指標として反映し、投資効果を判定した。
  3. 結果、評価
    システム導入の効果として、顧客からの信頼性が上昇した。また、トレーサビリティ情報を活用して調達先から顧客までの一元管理された納入ルート情報を見える化することができたことで、物流フローの分析、効率化にもつなげられるという思わぬ効果もあった。

論述ネタの活用方法と作り方

論述ネタの活用方法

以上のように、私は5つのネタを準備してITストラテジスト試験に望みました。ただ、これからITストラテジスト試験に挑まれる方は、必ず自分でいくつかのネタを考えることをオススメします。

理由は、自分の経験で語れるレベルにレベルアップするためです。

試験当日には、「自分はこれらのプロジェクトで成功を収めてきたんだ!」と自信をもって言えるくらいの状態でなければ、ITストラテジスト午後II試験の論述合格は厳しいです。

といいますのが、試験問題はほとんどの場合自分の想定がバッチリ当てはまってはくれません。別に問題解釈のところで説明したいと思いますが、記述式・論述式のような自由記載の試験は、設問の趣旨をきちんと解答に反映しないと容赦なく減点されてしまいます。

ITストラテジスト午後II試験も、論述試験ではありながら問題文は結構長めの文章が書いてあります。加えて設問ア・イ・ウも、それぞれ聞いていることを明確にしています。

これに従って解答を調整しなければならないんですね。元々準備してきたネタを設問に応じて改変しながら解答構成を作成する。しかも20分で。これこそがITストラテジスト午後II試験の最大の難関と言えるでしょう。

論述ネタの作り方

さて、論述ネタの作り方ですが、私のオススメは以下の順番です。

  1. 自分の経験したプロジェクトの経験をネタにする
  2. 身近(社内・友人等)でおこなわれたプロジェクトをネタにする
  3. インターネットや業界紙などを参照する

自分の経験したプロジェクトの経験をネタにする

言うまでもありませんね。注意点としては、自分の経験したプロジェクトについては、恐らく多くの苦労話があるでしょう。ただ、ここでは現実は置いておいて、プロジェクト開始当時のプロジェクト計画を作成した当時の夢を語りましょう。

よく知っているプロジェクトだからこそ、どれだけ難しかったか、そしてどのように成功に導いたかといった内容を説明したい!と思われると思います。

それはよく理解できます。ですが、これはあくまで論述試験です。試験ですので、淡々と因果関係に基づきながら、事実を語ることが重要です。ここを注意しておかないと、論旨が曖昧になったり、設問に答えていない(本当に要注意です!!)ような解答を作成してしまいます。

身近(社内・友人等)でおこなわれたプロジェクトをネタにする

社内で聞いた話や、友人から聞いた話を書きます。これは、身近な人から聞く話のほうが、何も知らないところの話よりは親近感がもてるし、具体的な話を描きやすい、という事があると思います。私の場合は3つは身近なところから持ってきました。

インターネットや業界紙などを参照する

正直なんでもいいのですが、身近で拾えるネタがないのであれば、どこかの会社の成功事例を持ってきましょう。ただ、あまりにも大掛かりな話であった場合、収集がつかなくなる可能性がありますので、自分が想定できる範囲の、割と小さなプロジェクトの方がいいかもしれません。

論述ネタにはフェイクを入れる

これは必須とは言い切れませんが、私はこうしました。
一応経験談を語る、という前提ではありますが、試験とはいえ場合によっては社内の機密情報を勝手に公開することになる可能性があります。

自分の試験の解答が公開されることはありませんので、それがオープンな情報になることはないと思いますが、少しでもそうした情報の漏洩を気にすることがあるのであれば、思い切ってフェイクを入れましょう。

私の場合は、自分の経験したものや友人から聞いたものについては、

  • 事業所の拠点数
  • 販売先
  • おこなう事業
  • 定量的な目標値

などは事実と異なるものを書くことにしていました。

まとめ

ITストラテジスト午後II試験の論述ネタ、いかがでしたでしょうか。
ここでもう一度振り返ってみます。

ITストラテジスト午後II試験論述ネタ

ネタ1 生産システム展開 在庫管理レベルの向上
ネタ2 合併を機会としたERPの導入
ネタ3 物流システム導入によるグローバル販売効率化
ネタ4 設備メンテナンス情報共有システムの構築
ネタ5 食品会社におけるトレーサビリティシステムの導入

 

「そんな成功事例あるか!」と言われてしまうような内容かもしれませんが、私はITストラテジストは夢を語る仕事だと思っています。

経営者もそうですが、トップに立つものとして部下に夢のようなプロジェクトを語れる才能を測られているのがITストラテジスト試験なのかな、と思います。

ですので、試験中は現実は置いておいて夢のようなプロジェクトを自らの経験で成し遂げたITストラテジストとしての成果を発表する場面として、解答用紙を活用しましょう。
そうすれば自ずと合格は見えてきます。

午後IIまでたどり着いた人の40%は受かる試験なんです。怯むことなく、自信を持っていけば大丈夫です。

ここまでお読みいただきましてありがとうございました。

 

 

 

ABOUT ME
まっすー
中小企業診断士のまっすーです。 社会保険労務士やITストラテジストなど、多くの難関資格に合格した実績をベースとした資格試験の学習方法、ExcelマクロやPythonを活用した自動化の推進、経営に役立つ管理会計の理論解説、ITを活用した経営資源の有効活用などの情報を発信しています。
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