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HSK4級合格体験記 HSKを受けるならば4級から!過去問中心に聞き取りと作文を効率的に対応しよう

こちらの記事は次のようなことを知りたいという方に向けて書いています。

  • 中国語の資格が取りたいけどオススメは何?
  • HSKは何級から取るのがいいのかな?
  • HSK4級に合格するための勉強法を知りたい!
まっすーです。中小企業診断士試験他多くの資格に合格した実績をベースに数々の資格試験の合格アドバイスをしています。
今回は最初に受験したHSK4級の説明と、私が受験した際の合格体験記を公開します。

HSKは2022年より新形式の試験がスタートするとのことです。従来形式の試験も留学や資格としての証明には有効ですので、できるだけ現行試験で合格しておいたほうが、新試験への移行による戸惑いが少なくて済みそうです。

HSK4級の合格証と得点

説明への説得力を持たせるために、私のHSK4級の合格証と得点をアップしておきます。

聴力(聞き取り)が84点、閲読(読解)が95点、書写(作文)が79点、合計258点でした。HSK4級は、60%以上取れれば合格扱いですので、かなりの高得点で合格できました。

受験を志したきっかけ

私がHSKの受験を志したのは、仕事で中国出張が増えてきた頃でした。英語圏に行く場合は、なんだかんだで英語を話さなければなりませんが、中国に行く場合は基本的に通訳の方がついてくれて、日本語で会話をすることができます。

これには、中国の方で英語を話せる人がそれほど多くないから、というのもありますが、日本語ができる中国の方が多いからそれに甘えている、ということもあると思っています。

ちなみに私は大学時代に第二外国語として中国語を学んだはずだったのですが、完全に、すっかりと忘れてしまっており、毎回出張に行くたびに、何一つ中国を喋れず、文章も書けずというのは嫌だな、と思うようになり、中国語の勉強をすることを志しました。

例のごとく、ただ勉強するよりは資格を取ってみよう!という私の学習モチベーションにより、資格試験の受験検討が始まりました。

中国語の試験として考えられるのは、大きく分けて2つです。

  • HSK(漢語水平考試)・・・中国政府公認の中国語の検定試験。1級から6級まであり、6級が最もレベルが高い
  • 中国語検定・・・一般財団法人日本中国語検定協会が主催する中国語の検定試験。準4級から1級まで6段階に分かれており、1級が最もレベルが高い

中国語の勉強の取っ掛かりとして資格を志すのですから、どちらでもよかったのですが、比較をしてみると、

  • HSKは中国の団体が作成する中国語の試験=TOEICに似ている
  • 中国語検定は日本の団体が作成する中国語の試験=英語検定に似ている

という違いがあると認識し、TOEICに似たHSKの受験を志しました。

試験研究

4級からの受験がオススメ

私が資格試験を受けようとするときに実施するのが試験研究です。
まず最初に考えたのは、何級から受ける?ということです。

HSKの各級のレベルは以下のとおりとなっています。口述試験もありますが、ここでは、筆記試験についてのみ説明します。

試験の程度語彙量の目安

6級

中国語の情報をスムーズに読んだり聞いたりすることができ、会話や文章により、自分の見解を流暢に表現することができる。5000語以上の常用中国語単語

5級

中国語の新聞・雑誌を読んだり、中国語のテレビや映画を鑑賞することができ、中国語を用いて比較的整ったスピーチを行うことができる。2500語程度の常用中国語単語

4級

中国語を用いて広範囲の話題について会話ができ、中国語を母国語とする相手と比較的流暢にコミュニケーションをとることができる。1200語程度の常用中国語単語

3級

生活・学習・仕事などの場面で基本的なコミュニケーションをとることができ、中国旅行の際にも大部分のことに対応できる。600語程度の基礎常用中国語及びそれに相応する文法知識

2級

中国語を用いた簡単な日常会話を行うことができ、初級中国語優秀レベルに到達している。大学の第二外国語における第一年度履修程度。300語程度の基礎常用中国語及びそれに相応する文法知識

1級

中国語の非常に簡単な単語とフレーズを理解、使用することができる。大学の第二外国語における第一年度前期履修程度。150語程度の基礎常用中国語及びそれに相応する文法知識

そして、本屋に行って過去問を見てみます。それなりに大きい本屋でなければ、HSKの各級過去問題集は置いていないかもしれません。

1級や2級の問題を見て、唖然としました。簡単すぎるのです。もちろん問題を見ただけですので、聞き取り試験のレベルはわかりません。ですが、読解試験は少なくとも、明らかに余裕というレベルです。

私の中にかすかに残っている第二外国語の中国語が威力を発揮した可能性もありますが・・・もっと明らかに言えることは、私の中の日本語力がHSK1級や2級はクリアできることを物語っていました。

当然ですがHSKを受験するのは日本人だけではなく、漢字を日常使用していない言語圏の方も受験します。1級や2級は、そういった「そもそも漢字って何?」というレベルからスタートする方々向けであると言えます。

実際に見ていただければわかるのですが、たとえばHSK2級の問題として、公式サイトに以下のような問題が掲載されています。5つの文章と6つの写真が提示されており、文章に一致する写真を選ぶ問題です(残りの写真1つは回答例)。

  • 介绍一下,我们公司先生
  • 时间了,休息休息 。
  • 孩子,
  • 今天了,天气
  • 因为所以小鱼好!

写真は、「猫が金魚を見ている」「フードをかぶっている」「ダンスをしている」「バスケをしている」「目を押さえている」「挨拶をしている」の6つです。赤字の漢字だけ読めれば、全問正解可能です。

もちろん、HSKは中国語の簡体字という字を使っており、日本の漢字とは異なるものも多いのですが、全く同じものや、似ているものも数多いです。つまり、ほぼ漢字を見たままで意味が通ってしまうのです。ちなみに上の李先生は、先生という意味ではなく、単に「~さん」という意味ですが、あまりそういったことを考えることもなく、解答が導き出せます。

3級になると、それなりに難しくなってきます。そのため、3級からスタートするという方法も考えられますが、4級との差がそこまで大きいとは言えませんので、初学者はHSK4級から受験するのが私としてはオススメです。

実際に勉強を始めてみるとみるとわかりますが、3級の場合対応すべき単語数が600語と少なく、しかも6~7割程度は日本語でそのまま意味がわかってしまうため、実際に覚える中国語の漢字は200~300字程度であり、相当早い段階で合格レベルに達してしまいます。加えて、鬼門の聞き取り試験も3級までは2回読んでくれるサービス仕様となっており、合格しやすくなっています。

よって、試験合格の成果・評価と難易度および対策にかかる労力を考慮して、日本人ならばHSKは4級を受けることをオススメします。

HSK4級試験の概要

ここからは、HSK4級試験について概要を説明します。HSK自体は、不定期ですが毎月1回程度は開催しています。

なお、試験は筆記試験とネット試験の2種類があり、ここでは両方について説明していきます。

試験時間および内容

試験は、HSK4級の場合午前中におこなわれます。
試験当日の受付開始は筆記試験は9:10、ネット試験は9:00、試験開始は筆記/ネット試験ともに9:30です。
各科目の所要時間および内容は以下のとおりです。

聞き取り:約30分間
パート形式問題内容問題数
第1部分正誤判断の問題短文が放送され、その内容と、問題用紙に与えられた短文の内容が一致するかを判断する。10題
第2部分会話の内容に関する問題2人の短い会話とその内容に関する問いが放送される。問いの答えとして正しいものを4つの選択肢の中から選ぶ。15題
第3部分会話や短文の内容に関する問題2人の会話や短文と、その内容に関する1~2つの問いが放送される。問いの答えとして正しいものを4つの選択肢の中から選ぶ。20題
読解:40分間
パート形式問題内容問題数
第1部分空所補充問題文中の空所部分に、4つの選択肢の中から適切な単語を1つ補い、意味の通る文を作る。10題
第2部分短文の並べ替え問題与えられた3つの短文を並び替えて正しい文を作る。10題
第3部分文の内容に関する問題短文とその内容に関する問いが与えられており、問いの答えとして正しいものを4つの選択肢の中から選ぶ。20題
作文:25分間
パート形式問題内容問題数
第1部分語句の並べ替え問題与えられた複数の語句を並び替えて正しい中国語文を作る。10題
第2部分作文問題写真と単語が1つずつ与えられ、その単語を使って写真の内容を表現する。5題

聞き取り試験の後で5分間解答用紙に記入する時間が与えられ、これらの時間も合わせて、試験の所要時間は115分程度です。

合格点

試験の合格点は、各科目満点が100点、3科目合計300点のうち180点を取得すれば合格です。足切りのような制度はありません。

合格率

試験の合格率ですが、公表されていません。そのため手元にあるデータで確認することしかできません。百分等級というのが、受験生を得点順に並べた場合に、その得点のときに下から数えてどのくらいの割合にいるか、ということを示しています。TOEICでもPercentile Rankとして使われていますね。

これを見ますと、179点が30%の位置にいることになります。ですので、合格点の180点であれば31%くらいでしょうか。つまりは約70%の人は180点以上、つまり合格していることになります。ちょっと資格の価値を疑いたくなってしまうレベルですが・・・ちなみにこの表は毎回更新されるわけではないそうです。加えて、5級でも(177点で30%)、最高難度の6級(175点で30%)であっても大して変わりません。受験生のレベルが高く、本当に約70%の人が合格する試験なのか、この表が間違っているのか・・・真相は誰にもわかりません。

ただ、合格率が高いと思っておくのは重要ですね。資格試験を受けるのであれば、絶対に合格する!という信念はとても大事です。前向きにいきましょう。

試験対策

私が受験した当時、HSK4級の攻略法を以下のように導きました。

まっすーの研究結果と試験対策:HSK4級
  • 過去問対策で基本的には問題なし
  • 読解は日本人には超有利。ここで得点を稼ぐ。
  • ただし、文法理解ができていないと作文で太刀打ちできないため、文法をしっかりと理解するための参考書は1冊用意しておきたい
  • 単語は出題範囲の1200語をひととおり学習する
  • 聞き取りはできなくても仕方がないが、とにかく耳を慣らす努力をする

ここから先は、各項目について解説しながら、実際の学習方法をお伝えします。

実際の学習

過去問インプット学習で過去問を解きまくる

HSK4級でも、私の提唱する過去問インプット学習理論が活用可能です。過去問インプット学習理論というのは、

過去問インプット学習理論

テキストを最初から読んで学習するのでなく、いきなり過去問を解き始めることで、アウトプットしながらインプットを同時進行する

ということです。

資格試験での短期間合格を狙うためには、この過去問インプット学習はオススメです。語学の試験であっても、最初からどんどん過去問を解いていきましょう。

過去問インプット学習については、詳しくはこちらの記事で説明していますので、よろしければご参照ください。

過去問インプット学習理論!~短期間高得点合格するための効率的な資格試験勉強法を公開~この記事では、どうすれば効率的に資格試験の学習ができるか知りたい!短時間で資格試験に合格したい!過去問はいつから手をつけるのがいい?参考書で学習した後?それとも試験直前?といった疑問に回答しています。...

過去問としては、私はこちらの公式問題集を利用しました。

HSKはすべての級で言えるのですが、公式問題集が一番です。

元々私は過去問を重視しているのですが、こちらの公式問題集は公式の割には珍しく解説もしっかりとしていて、この1冊だけで試験対策として大きなインプットが可能です。

読解は過去問をやるだけでOK

読解問題については、過去問をやるだけでOKです。HSK4級レベルであれば、日本人にとってはボーナスステージです。もちろん単語の意味をよく理解しなければならないとか、読むスピードを上げなければならない、といったポイントはあるのですが、とりあえず解いてみましょう。意味がわからなくても、意外に多くの問題に正解できると思います。日本人の漢字能力、恐るべしです。

加えて、聞き取りと作文という、対策に少し時間が係る科目がありますので、読解はさっさと終わらせて、他の対策をしましょう。

作文対策として文法のテキストを学習

HSK4級は、穴埋め問題だった3級と異なり、自分で実際に文章を作成する作文問題があります。この作文問題は、写真と単語が1つずつ与えられて、その単語を用いて写真の内容を表現するというものですが、ある程度の文法および語彙を理解できていないとまったく太刀打ちできません。

そのため、最低限の文法を理解するためにテキストを利用することをオススメします。過去問に出てきた作文問題の解答を丸暗記してしまうというのも1つの方法ではありますが、外したときに怖いです。

また、並べ替え問題もある程度文法を理解していないと、どうしてこの順番になるのか?というのが理解できません。日本語も語順は重要ですが、中国語でも語順は非常に重要で、り、文法を理解できていないと作文問題でいい結果を期待することができない、ということになります。

文法の学習も、HSK公認テキストがオススメです。4級のテキストは、広範囲をしっかりと抑えてくれていて、この1冊でHSK対策は万全と言っても過言ではありません。と言いますのが、HSK公認テキストは5・6級のものはありません。4級が最高レベルです。つまり、文法については4級で学習するものを抑えておけば、それ以上の級に行っても有効なんですね。

単語学習は1200語をひととおり抑える

単語学習についても、先程ご紹介した公認テキストで問題ありません。4級範囲までの単語をしっかりと抑えてくれています。

もしそれでも不安ということであれば、こちらも公認のものですが、中国語検定HSK公認単語トレーニングのアプリをオススメします。

単語トレーニングをするためには、各級で課金をしていく必要があるのですが、3級までの単語は日本語の感覚でも大丈夫と割り切って、私は4級のみ課金して利用しました。それだけでも単語学習効果が期待できます。

聞き取りはとにかく慣れ!一単語でもいいので聞き取れるようにする

最後に聞き取り試験対策です。英語でもそうなのですが、聞き取りについてはすぐに合格レベルに達するということはありません。そのため、可能な限り聞き取りをする時間を作って、何度も何度も繰り返し聞きましょう。

聞くのは公式問題集の聞き取り試験問題で大丈夫です。もちろん興味があれば中国語のドラマやバラエティなどを見て、聞き取りに慣れるというのもいいとは思いますが、HSK4級に効率的に合格する、という観点であれば試験問題の聞き取り問題を聞き続けましょう。

実はHSK4級の聞き取り試験はそこまでの難易度は高くありません。一単語でも聞き取れれば正答できるような問題が多いです。

そのため、まずは発音を含めて知っている単語を増やし、それを聞き取り試験の過去問で実際に聞き取れることを確認する、という手順でどんどん慣れていくことが重要です。

あまりに手を広げすぎても逆効果ですので、HSK4級であれば基本的には過去問集とテキストに出てくる4級レベルの単語をしっかりと学習しておけば、合格は可能です。

試験結果とその後

私の受験した会場はとある高校でした。

HSKの受験をして驚く方も多いと思うのですが、開始時間のカウントダウンがあります。

試験監督の方が「2分前ー!」「1分前ー!」「30秒前!」「10秒前、9,8、・・・」と大きな声でカウントダウンをします。これが中国式なんでしょうか。もちろん、ここまで大がかりにカウントダウンするくらいですから、遅刻者は受験することができません。

社会保険労務士試験も遅刻は受験できなくなりますが、HSKも遅刻=即不合格ですので、注意が必要です。

試験自体は聞き取りと作文の対策が功を奏したのか、それほど難しいと感じることはなく、この記事の最初にお見せしたとおり、高得点で合格することができました。

まとめ

ここまでHSK4級について解説しました。最後にまとめておきます。

HSK4級合格の秘訣
  • 合格率は70%程度と信じよう(データの正誤はともかく)
  • 基本は過去問対策でOK。読解はボーナスステージ、聞き取りと作文対策を重視
  • 聞き取りは過去問の問題を何度も聞いて、一単語でも聞き取れるよう努力する
  • 作文は語順問題対策を含め、テキストで文法理解をする必要あり
  • 遅刻は厳禁(カウントダウンあり)

日本人にとってHSKで最初の関門といっても過言ではない4級は、対策無しで簡単に合格できるものではありませんが、ある程度対策をしておけば十分に一発合格は可能です。

ここまでお読みくださいましてありがとうございました。

ABOUT ME
まっすー
中小企業診断士のまっすーです。 社会保険労務士やITストラテジストなど、多くの難関資格に合格した実績をベースとした資格試験の学習方法、ExcelマクロやPythonを活用した自動化の推進、経営に役立つ管理会計の理論解説、ITを活用した経営資源の有効活用などの情報を発信しています。

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