中小企業診断士

中小企業診断士1次試験・運営管理の勉強法 過去問アウトプットで理解を深めて学習を効率化しよう

こちらの記事は次のようなことを知りたいという方に向けて書いています。

  • 中小企業診断士試験の運営管理の特徴と対策を教えてほしい。
  • 運営管理で効率よく得点するためのコツは?
  • 運営管理の学習方法を教えて!
まっすーです。中小企業診断士試験他多くの資格に合格した実績をベースに数々の資格試験の合格アドバイスをしています。
中小企業診断士1次試験は2ヶ月半程度の学習で合格していますので、短期合格のための学習方法には自信があります。運営管理は知らなければ解答できない知識問題が多いですが、しっかりと対策をしておけば高得点を取ることも可能です。これから運営管理の特徴を解説して、私がおこなった対策を説明しますね。

運営管理の特徴

1次試験だけでなく2次試験でも重要

運営管理(オペレーション・マネジメント)は、企業経営理論、財務・会計と並んで、中小企業診断士試験の1次試験だけでなく2次試験でも重要な科目です。

こちらが1次試験と2次試験の関係をあらわした図ですが、運営管理は事例II(マーケティング・流通)・事例III(生産・技術)と密接に関係しています。

詳細は後述しますが、運営管理は販売・店舗管理や工場の生産管理という、中小企業でもよく見られる小売業・製造業の運営に関する内容が試験範囲となります。中小企業の経営指導をおこなうべき中小企業診断士にとって、重要というのはよくわかりますよね。

1次試験対策でしっかりと運営管理の知識をつけておけば、2次試験でもスムーズに論述を展開することが可能ですので、しっかりと学習しておくことが大切です。

運営管理は計算問題が多く出題される

1次試験の運営管理について解説します。

1次試験の運営管理は1日目の15:40~17:10の90分間でおこなわれ、問題数は、ここ5年間は44~45問となっています。配点は1問当たり2~3点と一定ではありません。試験問題には配点が書いてありませんので、どの問題で時間を長く使う、といった判断はできません。

単純計算で1問2分で解答すればいいので、択一試験としてはそれほど時間的に厳しいとは言えません。ですが出題される44~45問中、6~7問は計算問題が出題される、というのが運営管理の特徴です。

計算問題は、内容にもよりますが出題内容を把握して、公式を思い出して、計算をするという手順をかける必要があることから、通常の選択肢を選ぶ問題よりは時間がかかってしまいます。

はまってしまうと相当な時間を取られてしまいますので、注意が必要です。

近年、合格率の変動が激しい

計算問題が少しやっかいな運営管理ですが、実は難易度自体はそれほど高いとは言えません。特に、販売・店舗管理の分野は生活でも馴染みがある内容ですので、学習していなくても解答できそうな問題もいくらかあるのが事実です。

運営管理の過去10年(平成23年度~令和2年度)の合格率の推移を見てみましょう。企業経営理論の科目合格率は3.1%~25.8%の間で変化しています。ここ5年で見ると20%超が2回、10%以下が2回と安定しません。

平成29年は計算問題が10問出題されており、複雑な問題もありましたので難易度の高い試験でした。それにしても3.1%は低いですね。

なお、この科目合格率のデータを見る場合、1次試験合格者は、科目合格率の集計に入っていません。つまり、成績の良い受験者のデータが含まれていない可能性がありますのでご注意ください。

出題範囲

1次試験の運営管理の出題範囲は2つの分野に分けられます。
それが生産管理店舗・運営管理です。
試験における出題は大体半々くらいの出題割合となりますので、まんべんなく学習しておく必要があります。

それぞれの分野について解説していきますね。

生産管理

生産管理は、以下の4つの分野が問われます。

  1. 生産管理概論
  2. 生産のプラニング
  3. 生産のオペレーション
  4. その他生産管理に関する事項

工場の運営をおこなう際の基本となる知識となります。

生産形態(見込生産、受注生産、多種少量生産、少種多量生産、個別生産、ロット生産、連続生産など)や生産方式(ライン生産、セル生産など)、作業研究(方法研究、作業測定、時間研究など)、分析手法(作業者工程分析、連合作業分析、動作分析、稼働分析など)といった、工場における運営のための知識について、それぞれの方法や手段がどういった特徴を持っているかを抑えておく必要があります。

範囲がかなり広いため、戸惑うこともあるとは思いますが、基本的なことを理解することを優先することをオススメします。運営管理の生産管理分野は細かく学習しようと思えばいくらでもできてしまいますが、時間効率が悪いため、試験勉強と割り切ってまずは重要論点だけを抑えるようにしましょう。

工場に馴染みがある方の場合は学習しやすいといった話も聞きますが、もしそうでなくても不安に思う必要はありません。生産管理については暗記と割り切って、過去問を利用してどんどん知識を広げていきましょう。

店舗・販売管理

店舗・販売管理は、以下の5つの分野が問われます。

  1. 店舗・商業集積
  2. 商品仕入・販売(マーチャンダイジング)
  3. 商品補充・物流
  4. 流通情報システム
  5. その他店舗・販売管理に関する事項

店舗・販売管理は、生産管理に比べるとイメージがしやすい分野です。工場にはなかなか入る機会がないかもしれませんが、店舗であれば利用する機会がありますね。イメージがしやすいことから、学習も進めやすいのではないかと思います。

店舗については、スーパーなどに行って陳列方法を見て、学習した内容のとおりにできているか、といった視点で見てみるのも面白いですね。

難しい論点として、店舗施設に関する法律知識として、まちづくり3法(都市計画法、大規模小売店舗立地法、中心市街地活性化法)や建築基準法からの出題がありますが、確実に得点するためにはかなりの範囲の学習をしなければならないため、ある程度重点を絞った学習にしておいた方がいいかも知れません。 

また、計算問題は積極的に取り組んでおきたいです。公式を覚えることはもちろんですが、実際に計算する演習もしておいてください。計算問題は手が出なければ正解確率が単純に5分の1になってしまいますので、何とか正解できるようにしておきたいです。

運営管理の対策

運営管理の内容について説明しましたが、ここからは合格のための対策について述べたいと思います。

過去問アウトプットで繰り返し過去問を解く

運営管理は範囲が広く、覚えなければならない知識も多いですが、最初からテキストを読んで理解を深めよう、というのはオススメできません。

私がオススメするのは、最初から過去問に取り組むことです。敵を知り己を知れば百戦あやうからずという言葉にもありますが、本試験レベルの問題を見ておかなければ、どの程度のレベルまで学習しなければならないかを測ることができません。

過去問を実際に解くことで、まちづくり三法の辺りの知識が、付け焼き刃では非常に難しいことや、計算問題がものによっては非常に手が込んでいて時間がかかることなど理解できると思います。

そして過去問を解いてみて、最初は当然わからないでしょうが真剣に考えてみて、ひとまず何らかの答えを出して、それから解答を見て解説を読んでください。

このプロセスを繰り返していけば、ある程度内容が頭に入ってくるはずです。大事なのは一回解いて全然できなくて終わり、にするのではなくそれほど期間を開けずに再度取り組むことです。

エビングハウスの忘却曲線というものがあります。下のグラフのように、人が記憶を定着できる割合は時間とともに減っていくということを示した曲線です。もっと簡単に言うと、「人は忘れる」ということですが、試験勉強にもこの考え方を適用することが可能で、ある程度の期間をおいて、過去問に再度取り組んで記憶を定着していく必要があります。

私としては、他の科目も学習しながらなので、1~2週間後に再度問題を解くのがいいのかな、と思っています。いい感じで忘れたところで、再度過去問を解いてみることで、新鮮に感じながら知識を定着できると思います。

その時点で忘れていたとしても、諦めずに繰り返しやることが肝心です。

結論としては、これが最も最短距離で合格するための秘訣なのかな、と思います。

実際私はある程度他資格の学習でもととなる知識があったとはいえ、2ヶ月半で1次試験を完全合格(全科目60点以上)かつ平均78点という高得点で突破していますので、効率的な学習が出来なければここまでいかなかったと思います。

過去問学習としては、私はこちらのTACの過去問集を使用しました。5年分の過去問と詳細な解説が載っていますのでオススメです。

中小企業診断士 最短合格のための 第1次試験過去問題集 (3) 運営管理

TACに限らなくても構いませんが、必ず問題の解説が詳しく書いてある過去問にしてください。過去問アウトプット学習では、解説を読むことで知識の底上げを狙いますので、解説がきちんとしていなければ意味がありません。

過去問アウトプット学習については、具体的な方法や、繰り返す回数などをこちらの記事で詳しく説明していますので、よろしければご参照ください。

過去問インプット学習理論!~短期間高得点合格するための効率的な資格試験勉強法を公開~この記事では、どうすれば効率的に資格試験の学習ができるか知りたい!短時間で資格試験に合格したい!過去問はいつから手をつけるのがいい?参考書で学習した後?それとも試験直前?といった疑問に回答しています。...

練習問題も活用して知識の幅を広げておく

過去問アウトプット学習で、ある程度の知識のインプットができてくると、それだけでは足りないという結論にたどり着くと思います。

ここでテキストを読んでさらに理解を広げよう、ということを考えがちですが、まだまだ努力する余地は他にあります。やはりアウトプット学習を中心にして知識を定着させるべきです。

そのためには、過去問をもっと解くという考えも成り立つのですが、5年よりも前に過去問の範囲を広げるのは場合によってはおすすめできません。というのが、その場合過去問自体の情報が古い可能性があります。

社会保険労務士試験のように、過去10年分の問題を収録しているような問題集があればいいのですが、そうでない場合、例えば5年前に出版された5年分の過去問を解く場合、情報はあくまでも5年前の情報なので誤った情報が書かれていた場合、理解を間違えてしまう恐れがあります。
まちづくり三法のような法律論を除けば、生産管理や店舗管理の多くの論点は5年くらいでそこまでは変わらないでしょうから、大丈夫かもしれませんが、不安は残りますよね。

よって、できればTACのような予備校が出版しているオリジナル問題集を解くのがオススメです。過去問と同じような問題も含まれていますが、問題集独自の問題もありますので、そこでさらに知識を広げておくのは試験対策として有効です。

私も使用しましたが、問題集でのアウトプット学習としては、こちらのTACのスピード問題集の活用がオススメです。

中小企業診断士 最速合格のための スピード問題集 (3) 運営管理

なお、問題集としては、必ずしもTACである必要はなく、

  • 分野別の論点をしっかりカバーしている
  • 問題のクオリティがそれなりに高い
  • 解説が詳細に書かれていてインプット学習に使用可能なレベルになっている

という条件を満たしたものにすれば何でもOKです。

過去問・問題集の後はしっかりと暗記を定着

運営管理の場合、過去問や問題集で基本的な理解を深めた上で、その内容をしっかりと定着させる必要があります。

そのためには、過去問や問題集を解いたあとで、しっかりと内容を確認できる書籍を用意したほうがいいです。これはTACのスピードテキストでももちろん構いませんが、私がオススメするのはTACのポケットブックです。

中小企業診断士 最速合格 要点整理ポケットブック 第1次試験 1日目

TACのポケットブック活用法としては、赤いシートで赤字で書かれた重要論点を隠しながら暗記していくのがポイントです。

テキストをただ読んでいくのでは時間がかかるだけで、とはいえすべての情報を細かく暗記していくわけにもいきませんので、ポケットブックで穴埋め式のような形で、隠れている文字が何かを考えながら、つまり脳を刺激しながら読んでいくことで記憶の定着を図ることが重要です。

まとめ

以上、運営管理の概要および対策を述べてきましたがいかがでしたでしょうか。ここでまとめておきたいと思います。

運営管理の概要・対策
  • 1次試験でも2次試験でも必要な診断士試験の重要科目
  • 近年合格率が乱高下しており、しっかりとした対策が必要。特に計算問題が多いと難易度が高くなるため要対策
  • 過去問アウトプット学習で知識の定着を図る
  • 過去問をやった後は、問題集でアウトプット練習、重要論点を暗記する、などの学習

運営管理は計算問題、まちづくり三法等法律知識を除けばそれほど難しい論点は無いと考えますが、範囲は広いため広く浅く理解しておくことが必要です。

合格には過去問+スピード問題集+ポケットテキストで十分だとは思いますが、重要なのは繰り返し学習することでしっかりと知識を定着させることです。

1次試験は7科目もありますので、可能な限り学習を効率化して、まんべんなく学習するようにしましょう。

ここまでお読みくださいましてありがとうございました。

ABOUT ME
まっすー
中小企業診断士のまっすーです。 社会保険労務士やITストラテジストなど、多くの難関資格に合格した実績をベースとした資格試験の学習方法、ExcelマクロやPythonを活用した自動化の推進、経営に役立つ管理会計の理論解説、ITを活用した経営資源の有効活用などの情報を発信しています。
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